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ムソウノカキオキ

管理人の好きなこと(アニメ、特撮、オモチャetc)についてつらつらと語っていくブログです

『英雄なき世界にラスボスたちを』感想

 

 今回は最近読んだライトノベル『英雄なき世界にラスボスたちを』の感想をば。
 作者は『柳実冬貴』さん、イラストは『をん』さん、レーベルはMF文庫Jの作品です。

 発売されてから少し経つ作品ですので、正直今更感もありますが、6月の続刊が出るということを言い訳にご容赦ください(苦笑)

 

・あらすじ
 主人公アキトたち6人(?)はそれぞれの世界を滅ぼし損ねたラスボス。
 彼らは死後、奇妙な六畳間に集められた。
 部屋の主、ラスボス更生担当官の少女ひまわりは言った。
 滅びの危機に瀕している異世界を救えば、神様の力であなた達の人生をやり直せる、と。
 意気揚々と異世界に向かったラスボスたちだったが、そう上手くいくハズも無く……

 

・力もアクも強い主要人物
 アキトを始めとする6人はライトノベルらしくクセの強いキャラ付けがされています。
 どれくらい強いかと言えば、それぞれがとんでもないスーパーパワーを持ちながら、(ほぼ)性格のせいでマイナス方向の修正を受けているくらい。
 その上、本業(?)はラスボスのため、皆協調性が無く、中には物語を斜め上の方向に引っ掻き回すキャラクターもいます。
 個人的には堕天使ヴェンなんとかさん……もといヴェンデッタさんがラスボスの中ではお気に入り。問題児揃いのラスボスの中、なんだかんだ言ってとても真っ当な思いで人を救おうとしているんですよね。
 ちなみに、ラス”ボス”とは言いつつもリーダーシップには疑問符がつくメンバーが多いので(ヴェンデッタさんは作中でも断定。不遇)、厳密にはダークヒーローものと言ったほうが近いかもしれません。

 

・コミカルに見えてかなりシリアス?
 イラストの可愛らしさとコミカルなあらすじに惹かれて購入しましたが、内容はかなりシリアスな部分もあります。
 なにしろ、脇キャラがスナック感覚で死ぬ死ぬ。ラスボス達のバトルに巻き込まれて亡くなることもありますが、主人公のアキトも必要とあらば人を殺すダークヒーローぶりを見せます。
 シーンによっては敵キャラクターの死に際が克明に描かれたり、終盤にはかなりえげつないシーンがあります。
 そもそも、ラスボスたちは一度敗北し、死を迎えているので、その時点でかなりシリアスなんですよね。
 他のシーンでのコミカルな掛け合いとのバランスで、ギリギリの線でコメディとして成立していると言えましょう。

 

・よくできた”属性記号もの”
 本作の特徴として、多くの情報を背負っていることが挙げられます。
 まず、主要人物が7人(ラスボス6人+ひまわり)とかなり多い。
 それも、どのキャラクターもラスボスというだけあり作品一つになりそうなほどのバックボーンを背負っています。
 しかし、彼らの生前の物語は冒頭にサラっと説明される以外は、主人公のアキトを除いて、断片的な描写に留まっています。
 さりとて、説明不足と言った印象はありません。
 と言うのも、それぞれ”異能者”、”堕天使”、”エイリアン”といった属性を付与されているので、それぞれの属性に紐付けられた物語が喚起されるんです。
 それぞれの属性を聞けば、読者が「ああ、あれね」となる訳ですね。
 誤解が無いように言えば、これは決して手抜きではありません。
 全てを描写してしまっては情報過多になってしまって読みやすさが無くなってしまうからです。
 もしも全て描ききっていたらハードカバー上下巻くらいのボリュームになっていたでしょう。
 主要人物、そして彼らが訪れた異世界。それらに関する描写を要所要所に抑えることでストーリー進行の遅延を防ぐ効果を生んでいます。
 背景設定はそれぞれに付された属性を元にある程度読者の想像に任せる形になっています。
 一方で、要所要所は克明な描写を入れることで印象的なシーンも多く生まれています。
 ある部分では属性記号に頼り、他の部分では描写を濃くするという非常にメリハリの効いた構成は、作者さんの文章力の上手さを感じます。そして自分の文章力の低さを感じます(苦笑)

 

・余談
 読了後に、作者さんが富士見ファンタジア文庫で『Re:バカは世界を救えるか?』という作品を書かれていた方だと知って非常に納得しました。
 『Re:~』も”異能力バトルもの”と言う記号があることを前提に書かれた作品で、その記号を活かしつつも独自の魅力を打ち出した作品です。
 また、格好をつけたがりながらもその実泥臭く前へ進む主人公像は両作に共通したポイントです。
 もしも『英雄なき世界にラスボスたちを』を読んで気に入った方がいらしたら、『Re:バカは世界を救えるか?』も楽しめるに違いないと太鼓判を押します。

 

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