今回は、先日公開された映画『パシフィック・リム アップライジング』の感想をば。
前作は随分前に一回観たかなーという程度なのですが、オープニングで前作の出来事を説明してくれたり、娯楽性の強い作風だったこともあって、この程度のにわかでも問題なく観ることができました。むしろ、本作からでも観れる勢いなので、「前作観てないからなぁ」と尻込みしている方でも是非見ていただきたいです。
物語の中心となるのは、前作で亡くなった英雄の息子ジェイクと、前作の戦いで家族を亡くした少女アマーラ。
それなりに闇を抱えていそうな2人ではあるのですが、この映画は人物ではなく事件を追いかけていく構成になっていることもあり、心理描写・あるいはウェットなシーンは少なめになっています。
ソレ以外の場面でも良くも悪くも薄味かなと感じられる部分は多く、キャラ・メカ共に主役以外のキャラ立ちが薄い感じだったり(でも訓練生組のワチャワチャした若者感は好き)、前作キャラが酷い目にあっていたり、敵がペラペラしゃべるので矮小化した感があったりとよろしくない部分はちょいちょい見られます。
しかしながらアクションだ!敵ロボットだ!陰謀だ!カイジュウだ!とハリウッドムービーらしく、見せ場が次々と展開するので2時間楽しんで観れたのは間違いありません。
また、前作と比べ画的にもストーリー的にもかなり陽性な印象が強いです。
『カイジュウを倒すために人間が作ったカイジュウ』(大意)とオープニングナレーションで評された巨大ロボット”イェーガー”も、本作では『巨大なアイアンマン』とも言うべき巨大ヒーローと言った趣き。
青空のもと、富士山をバックに4大イェーガーが降り立つシーンは、まさにヒーロー揃い踏み!な格好いいシーンでした。
この東京大決戦をはじめ、ロボットもの(ロボットアニメ)の格好いいところとアメリカ映画らしい”なんちゃって中国・日本”が混然一体となっていて楽しいつくりに。
このようにハリウッドハリウッドした娯楽性を強く押し出す方向は賛否あるようですが、意図的にやってるんじゃないかなーと個人的には思います。
原作なしの、乗り込み式ロボットものという*1、アメリカの映画としては異色の存在であった(だからこそ受け入れられたわけですが)前作『パシフィック・リム』の要素を受け継ぎ、噛み砕いてハリウッドムービーとして仕上げたのが本作『アップライジング』なのだと思います。
そして、そうやって仕上げることで『パシフィック・リム』シリーズをより広い客層に受け入れられやすく、今後に繋げられるようにと考えているんじゃないかと。
特オタ的に例えれば、『仮面ライダークウガ』と『アギト』ですな(笑)
2000年代の仮面ライダー第一作にして異色作の『クウガ』*2、その要素をヒロイックに昇華した『アギト』*3。
結果として、ライダーシリーズはそこから今年まで途絶えること無く続く長期シリーズとなりました。*4
『パシフィック・リム』も、本作『アップライジング』のラストシーンでほのめかされたように、次に続いていくと良いですね。