(fate/grand order、 type-moon/fgo projectより)
ゲームでは新イベントが発表されていたりと、これまた随分と遅くなってしまいましたが、ゲーム『fate/grand order』第2部第2章の最終節までの感想をば。
今までの感想は以下になります
(以下ネタバレ注意)
・”静”の物語
改めて振り返ると、あまり大きな動きのある物語では無かったなという印象。
いえ、赤目シグルド=スルト関係はまさにクライマックスな雰囲気になるワケですが、それ以外の時間はそこまで大きな動きを感じさせなかった印象。
お話の方向性としても、第1章で提示された事柄の確認と今後に繋がる情報の提示という部分も大きかったように感じます。
戦闘無しのパートも過去最大クラスに多かったですしね。
この辺、結構な勢いを持って主人公たちを残酷な物語に放り込んだ第1章とは対照的。
だからこそ、作品世界や物語にじっくり向き合うことができました。
”浸る”でも”読み込む”でもなく、”向き合う”。
そんな姿勢が相応しい物語に。
・異聞帯での戦い
異聞帯で勝つことの意味を知っているからこそ、今回は異聞帯での戦いの意味をまざまざと見せつけられたように感じました。
異聞帯での戦い、それはつまり”周囲から期待されない戦い”。
今回、カルデア一行はあくまで自分たちのための戦いを行い、北欧の異聞帯にとって”正しい”(あるいは利になる)戦いはほとんどできませんでした。
一応、終盤のスルト戦は異聞帯にとって正しいものと言えなくは無いものの、そもそもスルト復活のトリガーになったのはカルデア側の仕掛けた戦いでした。そのため、スルト戦は自分たちの過ちを精算する意味合いも含んだもの。そのため、異聞帯にとって正しい戦いと全面的に言えるものではありませんでした。
その”周囲から期待されない戦い”を続けることは、プレイヤーの立場でも、想像以上に辛いものでした。
たとえば、第4節の御使いとの戦闘。罪のない人々が死なされようとするという、さながら第1部第6章の聖伐のシーンを思い出しましたが、人々からの思いは対照的。
聖伐から救われた人は喜び、ある人は主人公たちに感謝さえしましたが、今回の戦いでは只々戸惑うばかり。主人公達に罵声が飛ばなかったのが不思議なくらいです。
なぜなら、第1部では本意でない死を強いられる場面だったのに対し、今回はただ北欧の異聞帯で”正しい”(当たり前)のことをしようとしていただけなのだから。
第1部第6章でも、この御使い戦でも、主人公達は正しいと思ったことを実行した訳ですが、それは決して周りの人々にとっての正しさではない。それをまざまざと思い知らされました。
・異聞帯との向き合い方
これに関して、今回はずっと悩んでいました。そして、答えは出ませんでした。
ムニエルの言うように、異聞帯の人々と関わりを持たないべきか。
ダ・ヴィンチ(と当面の主人公)のように異聞帯の人々と接した上で空想樹を切除=異聞帯を殺すのか。
どちらも、必ずしも正解だとは思えませんでした。
きっと、正解なんて無いんでしょう。
これに関して、ゴルドルフ所長も同じように悩んでいたことがプレイヤー(自分)にとって大きな救いになりました。
魔術師として、カルデアの所長として、ゴルドルフ所長はどうしようもなく甘い。
けれども、その甘さを簡単に捨ててはいけない……のかもしれません。
少なくとも、ホームズが言うように異聞帯の人々がこちらに好意的だったのが良かったと割り切ることが正解だとは思えませんしね。
・オフェリア・ファルムソーネ
敵側の主人公として見事な印象を残してくれたオフェリアさん。
やっぱり、恋愛運無いなぁと。
好いた男は恋愛しない主義。
サーヴァントはストーカー。
言い寄ってくる男は妻帯者。
妻帯者というところを理由に断る辺り、乙女だなぁと思ったりも。
甘さを捨てきれなかったという意味ではゴルドルフ所長とも似てなくも無いのかな?
まさに薄幸の美少女でした。
しかし、最後の最後まで自分の尊いと感じたものを胸に、最後の最後で自分の意志で一歩倒れ込んだ姿は敵ながら一本筋が通ったものがありました。
・余談、あるいはスルト
真意が語られた場面は短いながら、その思いは大きなインパクトを残し、その上界隈ではネタにされているそうで、ある意味すごい美味しいキャラクターだったなと。
いや、真意が語られる前でも戦闘シーンではオフェリアオフェリアうるさかったので十分わかるわけですが(笑)
ヒトの感情の機微にだけ最高に頭悪かったからこその結末だった訳ですが、終末装置にンなこと期待するのはお門違いと言うものでしょうか。
ブリュンヒルデとシグルドの、通じ合った愛が描かれただけに見事対比される形になっておりました。
恋敵のキリシュタリアからは伝聞で真意を見抜かれていた節があるだけにより不遇な気も……いや、全然同情できませんが。