ムソウノカキオキ

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小説 『空の境界 1/俯瞰風景』 簡単感想

  この前、小説『空の境界』(上)の電子版が割引していたので、購入してみました。

 ダークな作風と言うことで敬遠していたところがあったのですが、『fgo』でお世話になっている両儀式さんの出身作ということで思い切って手元に置いて見た次第です。

  その第1章にあたる『俯瞰風景』。

 その筋立ては存外シンプルで、敵に攫われたヒロイン(黒桐幹也)をヒーロー(両儀式)が助ける、というもの。

(ヒーローとヒロインの性別逆じゃねーかと言うツッコミはあるかとは思いますが、ここは分かりやすさ重視ということで)

 ただ、幹也が攫われるシーンをバッサリとカット、戦闘シーンも最小限になっているのが新味。

 代わりに、事件の前日譚と後日譚に力が入っていて、ソレを通してメインキャラクターである両儀式黒桐幹也、蒼崎燈子の人柄や関係を描いているわけですな。

 

 飛び降り自殺に関する考察、高い所から景色を見下ろすことでの衝動と、会話の内容も読み応えがあります。

 

 事件に気を取られない分、それ以外の部分に没入できることで独特な味のある短編に仕上がっています。

 紙媒体でじっくり読み込んでも良かったかも。電子版を買っておいて難ですが。

 

以下、小ネタ

・文体

  冒頭からかなりショッキングな場面があるのですが、それが清涼感さえ感じさせる文章と詩的な表現によってさほどグロテスクには感じられません。

 ショッキングな場面をショッキングでない語り口で書くという芸風は西尾維新先生辺りにも通じるところで、本作が西尾先生と同じ講談社ノベルスから刊行されたことに納得。

 

黒桐幹也

  「普通の人」という触れ込みの青年。

  ですが登場して早々、式さんに飛び降り自殺の話をするという変人ぶりを披露。

 この小説、本当に変わり者しかいないなぁ。

 

・拠り所

 そんな幹也青年を評しての式さんの言葉。

 分かりやすく好意を表に出すタイプでは無い彼女の、幹也に対する想いの強さが感じられる表現。