ムソウノカキオキ

管理人の好きなこと(アニメ、特撮、オモチャetc)についてつらつらと語っていくブログです。色々遅いですが、よろしければコメントなどもお気軽にどうぞ

~これは勝利ではない~fate/grand order第2部第1章 感想

 遅れてしまいましたが、『永久凍土帝国アナスタシア』の感想をば。

 ボリュームのあるシナリオとなっているので、各員自己責任でネタバレをシャットアウトしつつ自分たちのペースでじっくり楽しんでいただきたいと思います。

 

 味方サーヴァントには皆共に見せ場がありつつ、敵キャラには適度に感情移入させつつ、モブキャラが活き活きしているという、実はとても難しいことを見事に成し遂げた良いシナリオでした。

 いえ、だからこそしんどい感があるのですが……。

 以下ネタバレ注意

 

 

 

―-それは、世界を滅ぼす物語――

 

カルデアのマスターの”敗北”

 今までカルデアのマスターはイフの人々を受け入れ、その力を借りて勝利を重ねてきました。*1

 今回の戦いはそんなイフの世界を滅ぼす=否定するような戦いであり、それは今までのカルデアのマスターのありかたを否定する行い。

 それをせざるえない状況になったこと自体が一つの敗北なんじゃないかなーと感じます。

 この敗北感には、クリプター達のバトルロワイヤルに主人公達が望まずして引っ張り出された形になった、ということもあります。そしてこの状況、黒幕にとってはそこまで悪くない流れなんじゃないかなーと予想(妄想)。

 それだけ、カルデア襲撃までの時点でそこまで状況は詰んでいた、主人公は最初から負けていたとも言えます。

 どうやら、消えたはずの2017年にコトは進行していたようですが……?

 

・黒幕は異星の神(フォーリナー)?

 Aチームことクリプターの背後に見え隠れするのは、『異星の神』と呼ばれる謎の存在。

 回想シーンに登場する、木の根に似た宇宙生物の存在を考えると空想樹とは密接な関係がありそうですが……。

 いずれにせよ、1.5部終盤に実装された”異星由来のサーヴァント”であるフォーリナークラスがピッタリとはまる設定であることが注目されますな。

 

・ヤガの人たち

 さて、ここからは異聞帯のお話に。

 今回の異聞帯に生きるのは、ヤガと呼ばれる人々。

 序盤の印象では、異端と呼ばれるパツシィだけが優しい心を持っていて、他のヤガは”強食”の理に呑まれているのかなと思いましたが。

 途中から反逆軍のヤガたちなど、家族への情愛を持ち合わせたヤガの人たちも登場して、彼らも”きちんと人間”なのだと感じられるようになりました。

 それだけに、彼らの世界を滅ぼさなくてはならない展開はキツいものがありました。

 消えて善い命なんて無いのだと。

 

・”普通の人”たちの物語

 普通呼びに定評のあるぐだ(主人公)、クリプターの中では最も平凡と呼ばれるカドック、世界に対して鬱屈したものを抱えつつもそれを変えるような力を持たないパツシィ。

 今回主軸となるのは、そんな普通の人たちです。*2

 第1部では魔術の王を始めとした超常の存在が目立っていた所からスタートしたのとは対照的で、それだけに今回は異聞帯の様子が等身大の視点から見ることができたように見えます。

 とはいえ、個人的な感想としては「最終的にぐだがどんな選択をするのか!?」と彼(女)を見守るカルデア職員=多分一番普通の人の視点で物語を追っていたワケですが。

 

・マシュ・オルテナウス

 メカ少女だ、想像以上にメカ少女だ!と言うのが第一の感想でした(笑)

 元からサーヴァントとして不完全な状態をメカ(?)で補うというコンセプト通り、ゲーム上でも少し扱いづらい仕様になっているのが面白いところ。今後クセの強い新スキルを活かせる環境・状態になるのかは気になるところです。

 それにしても、サーヴァントとして実質劣化するであろうことを見越してまでデミ・サーヴァント計画などというトンチキ構想を推し進めていたマリスビリーの真意は一体どこにあったのやら。

 マシュに力だけ置いて消えたというギャラハッドが一体どんなヤツだったのかも、今後気になります。

 

・サーヴァントたち

 わかりやすい正義の無い戦いだけに、混沌属性、悪属性のサーヴァントが多く召喚されたことも特徴的。

 いずれも、「この人がいてくれて良かった」と思えるようなサーヴァントばかりでした。

 魔力を含んだ大地でゴーレム大活躍な参謀役アヴィケブロン。

 あくまでもアウトローの論理(と面倒見の良さ)で動くビリーとベオウルフ。

 相変わらずブレない無頼剣士な武蔵ちゃん。

 ヤガも主人公たちも「どちらも悪ではない」と言ってくれた(その内なる葛藤は創造を絶するものだったことでしょうけれど)アタランテ・オルタ。

 そして、敗北した異聞帯に音楽を送るサリエリ

 誰もが間違っていなかった世界、ただ生きるために互いにあがいただけの物語だっただけに、彼らのあり方は救いでした。

 

・カドックとアナスタシア

 戦闘面ではともかく、精神的にはスッゲェ殴りやすい敵役だったなー(オイ)

 と、言うのも「負ければ死ぬ」という切実な事情を抱えたヤガ=第一異聞帯の住人とは一歩引いた立場から、それぞれの個人的な事情で戦っている2人なので、相対的に事情が軽く見えてしまうというという構図に。

 とはいえ、決してイヤなキャラ、存在感の薄いキャラということはなく。

 主人公と対峙するはじめてのマスター達というのは新鮮でしたし、ちょっと歪な理由で相性ぴったりなコンビの様子はもう少し覗いていたかったというのが本音。

 1人生き残ったカドックが今後どうするのか……。

*1:第1章実装直前の復刻イベントがセイバー・リリィ=アルトリア・ペンドラゴンのイフのお話だったことは示唆的であります。

*2:普通の定義は難しいのですが、ここでは突出した力を持たない個人、くらいの意味合いで使ってます