7月28日に控えたアニメ『Fate/EXTRA last encore』に向けてテンションをアゲるため……というワケでも無いですが、原作ゲーム『Fate/EXTRA 』のシナリオ集『Fate/EXTRA MOON:LOG:TYPEWRITER Ⅰ、Ⅱ』を最近一気読みしました。
なので、その感想を語らせていただきます。
数年前のゲームではありますが、例によって内容にガッツリ触れているのでネタバレ注意です。
・はじめに
ゲーム『Fate/EXTRA』について自分はおおまかな設定は知っているものの、物語にはしっかり触れたことがない立場でした。(まさに、にわか!)
なので、ゲームをプレイ済の方、あるいはゲーム内容を全く知らずに読んだという方とはまた違った感触を抱いたかもしれません。
・それは、未来を託す物語
上記の言葉こそが、『Fate/EXTRA』を読んで一番に感じた印象でした。
最初に視点人物となる新聞部の少年は無残に敗死してしまい、代わりに新たな主人公=岸浪白野が登場することになります。
一見、この新聞部くんの存在はストーリー的にいらないようにも思えます。
最初から白野が登場した方が話がスッキリするだろうと。
ですが、新聞部くんの後を追いかけたことで白野は聖杯戦争本戦出場に間に合うことができました。間接的に白野は新聞部くんに導かれる形になるんですね。
そして、プレイヤーは「僕の名前をーーー忘れない、でーーー」という新聞部くんの願いを知った状態から岸浪白野を操作することになります。
メタ視点で言えば、敗死した新聞部くんの願いを託された上でプレイヤー=白野は戦いに挑む訳です。
この作品における白野は、敗死していった者たちの思いや願いを託されていく主人公な訳ですね。”そういう人物”であることを最初の最初から示すために、新聞部の少年は必要だったのでしょう。
そんな白野の(あるいは作者・奈須さんの)一番優しいと感じたところは、どんな相手であっても、特にランルーくん/ガトーのような意思疎通の難しい相手でさえも、倒した相手の思いをキチンと受け止めようとしているところでした。決して『アイツは狂っていた』、『アイツは悪だった』と切って捨てない。彼らの存在をきちんと受け止めて前に進んでいく姿はとても優しく真摯だと感じました。
(だから、最終盤の『自分の倒したトワイス・ピースマンの言葉を伝える』と言う選択肢も間違いでは無いと感じました。公式にはバッドエンド扱いされてますけど。)
そして、そんな白野も最後には不正なデータとして消されることになります。
でも、ただ消されるだけではありません。
と、自分の元になった人間とヒロイン(遠坂凛orラニ=Ⅷ)に未来を託す側の人間にまわるのです。それが分かっているからこそ、白野は希望に満ちたメッセージを自分の元になった人間に抱くことができたのでしょう。
新聞部くん→白野→オリジナル白野&ヒロイン、とまるでバトンリレーのように未来が託されていく……というのが『Fate/EXTRA』の基本構造であるように感じました。
傍から見るとバッドエンドっぽいですが、決して無意味な終わりではない、それは死んでいった人々も同様……という点がこの物語の美しいところだと思います。
とはいえ、他の人からすれば思うところもあろうと言うもので、ソレが『CCC』のあれやこれやに繋がるんだろうなぁ。