先日、期間限定劇場公開中の『01others仮面ライダー滅亡迅雷』を観てまいりました。
近場の映画館が、最近になって東映ヒーローもののこうした作品を上映するようになったようで嬉しかったです。
次の『キラメイジャーVSキョウリュウジャー』を観るのも楽しみです。
ただ、作品に関しては、完結編の『バルカン&バルキリー』とあとからセットで観る方がオススメかな……と言った感じ。
(以下、ネタバレ注意。あと、例によって厳しいことも言っているのでご注意をば)
簡単に言って、想像以上に『次回へ続く!』エンドだったなー、と。
・悲劇を作ることのむずかしさ
この作品を平たく言えば、次作『バルカン&バルキリー』の敵役となるであろう新キャラクター、仮面ライダー滅亡迅雷が誕生するまでの悲劇(と次作への期待をもたせるクリフハンガー・エンド)。
1時間と言う限られた時間のため、用意された悲劇的な結末へ向けて、お話はサクサク進んでいきます。
迅が修復されたワケ、仮面ライダー滅亡迅雷登場、リオン・アークランドの計略、最終決戦、そして崩壊。
展開があまりにもサクサク進むので、なんというか、悲劇なら悲劇なりのカタルシスと言うものが無いんですよね。
相応に良い作品を観たハズなのに、感情が今1つ揺さぶられなかったと言いますか。
リオンは滅亡迅雷.netをハメようとしています、仮面ライダー滅亡迅雷は暴走キャラです、そこに真っ向から突っ込みます……うん、じゃあそうなるよねと。
とはいえ、自分は次回作があると知った上で観賞したため、途中から「コレきちんと終わるやつかな……」と言う方向に感情が行ってしまったためと言う部分が大きいかとも思います。
また、物語全体の構成を俯瞰すると、『新たな悪が現れたので、新たなヒーローがそれを倒す』と言う特撮ヒーローもののフォーマットをしっかり守りながら、クリフハンガーエンドを作ると言う並ならぬ技術がなければ作れない作品となっています。
個々の要素を見ると、自分の予想とは異なることも多く、『衝撃の結末!』とキャッチコピーを着けても名前負けすることは無い作品でしょう。
しかし、困ったことに、どうしても自分の中で、
滅亡迅雷.netのメンバーがあんなことになってしまって悲しい
と言う、当然湧き上がるべき感情がこれっぽっちも出てこないのです。なぜだ。
悲しいお話を作るのには、ハッピーエンドを作る以上の力が必要だと、改めて感じさせられました。一応自分も物書き(素人)として、心に留めておかねば。
・スタイリッシュアクションは健在!
とはいえ、『ゼロワン』シリーズの強みである素晴らしいアクションは健在。
それぞれのライダーにキチンと印象的な出番もありますし。
個人的に印象的だったのが、トラックのコンテナ内での激しい攻防が、車体の振動と激しいエフェクトのみで表現されたシーン。
とても海外風(洋画的?)な演出で、非常に格好良く仕上がっていました。
全編通してアクションのクォリティは高く、且つアクションシーンは多めなので、劇場で観賞した価値はあったなと感じられました。
・仮面ライダーザイア/リオン・アークランド
終始物語を展開する役として立ちまわったザイアエンタープライズCEOリオン・アークランド。
これがなかなかの面白キャラでした。
いまどき珍しいベッタベタな英語なまりの日本語(けれど聞き苦しくない)を話すキャラクターで、ちょくちょくネタをさしはさんでくれます。
優勢だろうと劣勢だろうと"Come'on!"と相手を挑発したり、変身時に自分で"Presented by ZAIA."と言っちゃったりと、シリアスな本作の中でクスリと笑いを提供してくれました。
大悪党がこう言うことをすると格が落ちた感があるのですが、リオンの場合は最初から「飛電或人がいないうちに……」とか言っちゃう人なので特に問題も無く。(しかし、兵士型ヒューマギアとか勝手に作って良かったんでしょうか)
ほぼ全編通して計画通りに物事が進み、ラストも自分が死んだと言う一点を除けば計画は成功しているわけで、本作の事実上の主人公と言っても過言では無いのではないでしょうか。
・さいごに
なにはともあれ、滅亡迅雷ライダーズがたっぷり活躍する本作。
ストーリーは難があるように感じられましたが、次回作の『仮面ライダーバルカン&バルキリー』で帳消しになる展開を期待しています。
少なくとも、不破さんと刃さんのダブルライダーが大暴れしてくれることは確定していると言って良いですし。