ムソウノカキオキ

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『仮面ライダー滅亡迅雷』考察風まとめ

  厳しいことばかり言っても仕方が無いので、今回の作品をあれこれ楽しく考察……と言うほどでも無く、自分なりの意見をまとめてみようと思います。
 なんだかんだ、『ゼロワン』は頭をこねくり回すのに最適なんですよね。(制作サイドの想定していない方向に思考が行っちゃうことも多いですけど)
 こう、あれこれと頭と手を動かしてるあたり、自分は『ゼロワン』のこと好きっぽい。
 本作の黒幕、リオン・アークランドの目的は結局なんだったのか。
 そして、世界はどうなってしまったのか。

 (以下、ネタバレ注意)

 



 ザイアエンタープライズの社長、リオン・アークランドの目的は、ザイアの兵器ビジネスのため、人類の敵仮面ライダー滅亡迅雷を生み出すこと。
 次点で、兵士型ヒューマギア・ソルドの普及と思われます。
 仮面ライダー滅亡迅雷の完成が相成ったこそ、笑みさえ浮かべて散って行ったのでしょう。

 戦場におけるヒューマギアの有用性は兵士と言う『人間が担っていたお仕事』ができること。
 ラーニングさせれば、ソルドマギアとして直接戦う歩兵だけでなく、ソルドを修理する衛生兵、さらには軍事組織の人員を全て人間に代わってヒューマギアにすることが可能。
 そのため、ソルドを導入すれば、理論上は指導者のお財布の中身が無くなるまで戦争を行うことができます。
 死を怖がったり、戦争を嫌ったりする人間と違って、マスブレインシステムに繋がったソルドは従順であり、そうした兵士を欲する人は少なくないでしょう。
 そうなったら、莫大な利益がザイアに転がり込むことになります。
 顧客の金が無くなるまで搾り取れる、とも言う。
 発想が完全に悪魔ですが、利益は利益、と言うことなのでしょう。
 実に悪徳企業です。
 もちろん、ザイアはソルド以外にも様々な兵器を作っています。(A.I.M.Sショットライザーとか)
 それを売って利益が出ればよいので、あくまでソルドが『次点』なわけです。

 ソルド実用化のために必要とされた敵が仮面ライダー滅亡迅雷。
 自分達で敵型ヒューマギアを製造すればマッチポンプであることがバレる可能性が高い。
 しかし、既にあるものをアレンジすればそのリスクが軽減できると言う目算だったのでしょう。
 しかも、一般市民からの滅亡迅雷.netのイメージは最悪に近いであろうため、敵であることが容易に受け入れられると思われます。

 リオンは全体的に、すでにあるものを、自分に都合よく使おうという人のよう。しかもそれが上手い。
 なぜ敵として滅亡迅雷というマシーンを用意しなくてはいけなかったかと言えば、日本には人工知能特別措置法があったからでしょう。
 コレによれば、ヒューマギアは人間を傷つけてはならないとされるため、ソルドをいきなり対人間用兵士として売り出すためには障害となります。
 おそらく、人間では無い、機械である滅亡迅雷をソルドの敵とすることでソルドを大々的に日本へ導入。
 その後、段階的にソルドの存在を『特例』=人工知能でも人間と戦闘可能とするように人工知能特別措置法を改めるように日本政府へ働きかける……と言うのがリオンのプランだったものと思われます。
 導入先として本国アメリカや、他所の戦時下にある別の国ではなく日本を選んだのは、AIに関する法律のある日本での採用と言う強力な実績を作ることで、ソルドの世界展開をスムーズにする、と言う考えだったのかもしれません。

 リオンがこれまで動かなかったのは、アークがソルド(とザイア兵器)の敵になってくれることを見込んでいたものと思われます。
 天津垓が、ザイアエンタープライズの『企業利益』のためにあれこれ暗躍していたのは本編をご覧の通り。その延長線上にソルドがあります。(とは言え、天津がノリノリだったあたり、かなりの自由裁量権を与えていたっぽい)
 しかし、アークらは悉く敗れ、改心。
 リオンはアークを見限り、新たな敵キャラとして仮面ライダー滅亡迅雷を用意する方向性にシフトしたものと思われます。
 アズがリオンに声をかけた時には、すでにリオンはアークを見限っていたもの思われるので、少しタイミングが違っていたらと思うと悲劇と言うかなんというか。

 ところで、兵士型ヒューマギア ソルドは普通に違法性の塊だと思われます。
 まず、先述の人工知能特別措置法は日本国内で普通に有効なので、戦闘目的のヒューマギアを日本国内に持ち込むこと自体が違法行為である可能性があります。
 ヒューマギアを開発した飛電インテリジェンスから許可を得てソルドを開発したとは思えません。
 つまり、ソルドはこれ以上なく違法製造された商品なのです。
 飛電から訴えられない理由がありません。(「ソルドがかわいそう」という迅の意見に、或人がいたなら全力で賛同することでしょうし)
 リオンが飛電或人のいない間に来日したのは、或人が飛電インテリジェンスのトップであり、ヒューマギアの特許権を持っていることを一番に警戒したのかもしれません。訴訟対策。
 おそらくは、或人のいない間にソルドの日本導入を実行。
 その後、或人に訴えられてもお金の力で解決できるよう裁判で立ちまわる……と言ったプランだったのかもしれません。
 或人が宇宙にいるのは決して長い期間では無いだろう(そして、飛電インテリジェンスは他の社員もいる)ことを考えると、かなりギリギリのアクトバットであるとは思いますが。


 天津といいリオンといい、堂々と違法行為を行っている(ように見える)あたり、ザイアの弁護士は大変に優秀なようですネ。
 とはいえ、実際の悪徳企業も、法の抜け穴を突くことは多いようなので、らしいと言えばらしいのですが。
 ザイアの法令違反によって飛電インテリジェンスは結局やられっぱなしなので、ザイアに舐められてるなぁ、とも思いますが。
 そろそろ、飛電とザイアとの法廷での決着を描く、仮面ライダー"弁護士ビンゴ"を始めるべきなのでは?(地味)
 リオンの誤算は、日本政府がソルドの導入に案外及び腰(と思われる)だったことと、仮面ライダー滅亡迅雷にソルドのマスブレインシステムを断ち切られてタイマンを張ることになったことでしょう。

 ただ、仮面ライダー滅亡迅雷がリオンという人間(それも社会的地位も高い)を殺したことで人々の滅亡迅雷に対する敵意は膨れ上がるはず。

 このリオン・アークランドを殺した殺人マシーン、仮面ライダー滅亡迅雷を許すな、武器を取れ。


 こうしたメッセージを発信するのに最高の結末だったはずです。

 そうなればザイア商品が売れるだろうと考えると、リオンの本望だったのでしょう。(リオンが『仮面ライダーエグゼイド』の壇政宗のように会社のために覚悟キマってる系か、あるいはなんらかの保険を用意していたのかは不明ですが)

 A.I.M.Sの装備品もザイア製なので、唯阿さんたちが頑張ってもザイアの利益になるのがうまい。

 マスブレインシステムは、ソルドの制御と同時に、部隊の判断を全個体で行うことで優れた結果を導きだす、といったコンセプトなのだろうと理解しました。(コンピューター同士をくっつけたスパコン的な?)

ヒューマギアと衛星ゼアとの通信をさらに一歩押し進めたコンセプトと言えます、ら

 合議制であることを考えると、意志が薄いままラーニングを重ねたソルドたちが最良の判断をすることができるのか。(たとえば、役割の違うソルド同士の意見対立が起こったらどうなるのか)
 あるいは人間に逆らうことは本当に無いのか。
 こうした疑問はあります。
 ただ、マスブレインシステム空間(イメージ)内のシステムボイスっぽいものが、仮面ライダー滅亡迅雷の音声と同じだったことを考えると、このシステムボイスがマスブレインシステムの議長。
 つまりソルドを制御するリーダー的存在なのではと言う妄想は可能です。
 そのマスブレインシステムのリーダーが表に出て暴走したのがラストシーンなんじゃないのかな、と言う風に見えます。

 こうして誕生した仮面ライダー滅亡迅雷(presented by ZAIA)。
 対するは仮面ライダーバルカン&バルキリー(presented by ZAIA)。
 勝っても負けても残るのはザイアの製品、と言うロクでもない状況が揃ってしまったわけで。

 はたしてどうなるのか、結果が分かるのは今年の秋なんだとか。
 ……長い!