第24話『舞い降りる夢幻』
猛攻を受け、朦朧とした意識の中にいるユウマに語り掛けるアーク(胡散臭いまでに爽やかな声で)。
この17年間は全て夢だった、と。
もちろん、これは敵=生きていたスイードの甘言なわけですけれど、なかなか考えさせる話です。
人間が主観で生きている以上、目の前にあるものが現実なのか、あるいは現実だと思い込んでいる夢であるのかを断言することは難しい。まさに胡蝶の夢。
それを、よりにもよって信頼する相棒の口から言われたとあっては、朦朧状態にあることもあり、ユウマが揺らぐのも無理もない。
同時に、偽アーク(スイード)の語る『現実』のなんと甘やかなことか。
両親が生きている未来をユウマが欲していないはずもない。
悲惨で荒唐無稽な怪獣災害なんて現実に起こるはずもない!
一方で、現実にも怪獣災害のような、「起きるはずの無い」ような理不尽は当たり前にあるよな、とも考えたり。
たとえば、COVID-19の蔓延を巡る出来事を、もしもソレ以前の時間に生きている人々に伝えたとして、一笑にふされるのではないでしょうか?
そんな(SFパニック映画のような)出来事が、現実に起こるはずもない、と。
思えば、『アーク』世界の怪獣災害もそうした存在でした。
こんなことは現実に起こるはずがない、と考えること、想像を止めてしまう事は、想像を超えた理不尽に立ち向かうにあたって、最もやってはいけないことなのかもしれません。
そんな迷いから、ユウマを現実へと引き戻したのは、お父さんの時計、そしてもう一人の相棒であるシュウさんの声。
スイードのことを、かつて自分が撃ち漏らした宇宙人、と述べたシュウさんですが、スイードにとっても肝心なところで妨害された相手でもありますね。しかも、これで二度目。
それに対し、「野暮なことをする」と皮肉を飛ばすスイード。
淡々とした態度こそ変わらないものの、以前に比べると皮肉めいた物言いが増えているのは、以前ザディーメを倒されたがためか。
スイードと夢幻獣ギルバグの出現に駆け付けたアーク上司もといビオルノさんによる現状解説。
やはり、ユウマの胸の光はオニキス由来。
アークはオニキスをギャラクシーキューブに再構成することでオニキスの力を制御していた、とココまでは割と予想通りですよね。
それを受けたゼ・ズーは、オニキスを通してウルトラマンアークに汚染物質を送ると言う驚きの作戦に出ていた、と。
なんという外道な作戦。
怪獣プロレス番組の悪役がすることとは思えない盤外戦術です。
とはいえ、この事件をゼ・ズー派とビオルノ派の政治的対立と捉えれば、追いつめられたゼ・ズーが強硬な手段を取るのもやむを得ない事情があるのかも……いや、結局地球を巻き込むわけだから、とても肯定できた話ではありませんな。
暗黒宇宙卿の異名は伊達では無い、と言うべきか。(ホログラムごしの会話シーンから名付けたやつだろ!?というのはさておき)
ゼ・ズー派が立て続けに搦め手を行使するのは、オニキスを制御したアーク=ギャラクシーアーマーの圧倒的な力を痛いほど分かっているからなのでしょうね。
とはいえ、狡い手を使わずに正々堂々と殴ってこい!と言う気持ちもありますが。
倒れたユウマ運び、今後の対策を話し合うSKIP。
ハッキリとは言わないものの、この時点でみな、ユウマとアークの関係に気付きつつある様子。
進撃する、シリーズ最後の怪獣、ギルバグ。
ともするとゆるキャラじみたルックスとは裏腹に、バリアごと進撃するなど油断ならない強敵。
仲間たちに引き留められながらも、ユウマ決意の変身。
これまで「くん」付けで呼んでいたシュウさんの、「ユウマ!」の叫びが痛々しい。
そんな仲間たちに、少しだけ振り返り、優し気にユウマをハグするアークの姿も、さまざまな感情が思い起こされます。
ウルトラハグ、決して毎回やっていたわけではないのですけれど、今やアークの変身において印象的な存在となりました。
しかし、決意空しく満身創痍のアークはギルバグに追い詰められます。
アークフェザーが、まるでギルバグに従うかのように暴走する姿はまさに絶望的。
それでもなお必殺のアークファイナライズを放とうとするも、アークはギルバグの放つ光の粒子で動きを止める。
果たして、アークは、SKIPは、星元市はどうなってしまうのか?
切り札はやはり、想像力!?