第10話『遠くの君へ』
ユウマの同級生・カズオは、異星の友人フィオと無線交信することが唯一の楽しみ。
しかし、その電波に誘われ、怪獣ノイズラーが襲来して……。
と言う訳で、調査の中、期せずしてかつての同級生と再会したユウマ。
中学の時のクラスメイトなんて、よく覚えているものです。それはカズオも同じことで、少なくともユウマの存在は印象に残った相手だったのは確かだったのかも。
そんな2人の、気まずい距離感はなんとも絶妙。
相手を無下に追い払う訳にもいかないカズオ。
一方のユウマも、相手の感情の機微には聡いタイプなので、距離感を適度に測りながら調査に取り組む、と。
今回、SKIPが警察的な立ち回りをすることになりますが、所長以下SKIPメンバーの性格もあって、警察ほど厳密、あるいは高圧的な感じにならない風に。
そんなとき、ノイズラーが襲来。
カズオが怪電波を受信していることをSKIPが確信したタイミング。
そして、それはフィオとカズオの交信のときが終わりを迎えつつあった。
残酷な話ではありますけれど、全てがこの時に重なったからこそ、綺麗に終わることができた、とも言えるかもしれません。
タイミングが1つでもずれていたら、互いにキチンと別れることは出来なかったかもしれません。
もちろん、これは別れの時間を必死に作ったユウマ/ウルトラマンアークの尽力があってこそ、とも言えます。
そのアークは、相変わらず想像力の限りを尽くしたトリッキーな戦い。
リンたちの分析にふむふむと聞き耳を立てるととは……。すっかり天然系面白イケメン巨人としてのキャラ性が板についた感があります。
このあたり、ともすると実況解説的な役割に終始しかねない人間側の分析の重要性を示してくれた場面とも言えます。
そこからは、夜戦に空中戦と見どころたっぷり。
バリアや光輪を駆使したノイズ発生。
防衛隊の戦闘機のナイスアシスト。
ソリスキューブは、アーマー装着こそなかったものの、ソードでの必殺技はまさに真夜中を照らす太陽。
アーマー用のキューブは、必殺技としての方が、ある部分では使いやすいとも言えるのかも。
そんなこんなでノイズラーを宇宙へと追い返したアーク。まぁ、今回は電波に誘われただけの怪獣なので、倒す必要が無いですものね。
一方、別れを終えるカズオとフィオ。
悲しむカズオの鼻水までしっかりと表現するのには驚きました。
悲しい時の人間は、決して美しいものではない。美しさなんて気にする余裕が無いほどの姿だからこそ説得力があります。
どうしようもなく避けられない別れ。どう取り繕ったところで、彼らにとっては理不尽なことでしかありません。
そこに寄り添うユウマ。
大切な人だったから、距離は関係ない、と言う言葉。綺麗な言葉ではあるけれど、実体験が伴うと言うことを差し引いても、綺麗ごとでは無い。
カズオとフィオとの絆は掛け替えの無いものだったし、だからこそその別れはお綺麗な悲劇では無い、と言う落としどころが良い。
そんなユウマに、ありがとうと素直に言うカズオ。
彼の姿も、目元の隠れていた髪を切りそろえた、人と会うことを想定したこぎれいな格好なのもまた、一歩前進を象徴しているよう。
悲しいことは悲しいこと。
けれども、生きている人間には、明日は明日の風が吹く。