第3話『ソーダパンチは罪の味』
コワモテの男、筋元に救われたショウマ。
お菓子ばかり食べていてはいけない。
泥棒をしたら、された相手は困ってしまう。
人間世界のことに詳しくないショウマの物語だと、自然と人間として大切な、だからこそメインターゲットであるお子さんには絶対に知っていて欲しいことがストレートに描かれますね。
ヒーロー番組は教育番組、とはかの名優の言葉ですが、ここまで直球なのは久々かも。
一方、絆人と幸果の物語にも動きが。
二人は以前にも仕事をしていたことがあった、と言うのは意外でもあり納得でもあり。
描写をいろいろショートカットできますしね。
ガヴがネットでは仮面ライダーと呼ばれ出しているという話をしつつ、化け物の一人は人間を助けていた、と言う話をする絆人。
始少年の訴えが、重要な証言として受け継がれていることが感じられます。
『はぴぱれ』では、前回ガヴに助けられたりっつんさんも再登場。
こうして、前回のゲストの人生が続いているのを観られるのは嬉しいですね。
前回のリアクションを普通にビビった(納得!)とフォローしつつ、仮面ライダーがりっつんを助けたのでは?と言う幸果の言葉を「え~、好き」と肯定するのが良いですね。「無いわ」ではなく。
ショウマ自身の知らないところで、少しずつ彼が受け入れられつつあります。
こうした、一般人の善悪の描く方が実に良いですね。
人間は、断片的な情報から時に誤解をすることもあるけれど、誤解を解く力もある。
あるいは、時に悪に寄ってしまうこともある、と。
実にニュートラル。
そんなわけで、悪魔の囁きに耳を貸してしまった筋元さんに、泥棒の片棒を担がされそうになるショウマ。
点検業者を装ってターゲットにした田中さん宅。なんとなく、筋元さんの声が距離感近い感じ。
仕事先か、ご近所さんのお金持ちなんでしょうね。
「田中さ~ん」とウッキウキで侵入する筋元さん(満面の笑顔!)はなんとも泥棒らしくない。
ギリギリのところでショウマに止められ、荒らした室内はゴチゾウたちが片付け、結果的に残ったのはショウマの壊した鍵だけ、と言うのが何とも。
筋元が泥棒をしようとしたのは、恩人の”オヤジさん”への恩返しのため。
とはいえ、泥棒された田中さんの都合を考えないようにしたり、それどころか盗んだお金で恩を返すことのとんでもなさに考えが至らないのが、実に短絡的な犯行。
完全な悪人では無いとは言え、”オヤジさん”に拾ってもらっていて、第三者目線でも本当に良かった、とも思います。
そんな筋元を狙う怪しげなキッチンカー店員=グラニュート・ボン。
中性的な雰囲気の女性かと思いきや、素顔は男性的なグラニュート族。まさに『化けの皮』を被っているだけだった、と言うことが感じられる、良い描写です。
ショウマが筋元と食べた美味しいのり弁当を作ったのが彼(女)だった、と言うのがなんともやるせない話です。
それに対して、筋元の言葉通り、辛い中で食べたソーダグミの力で対抗する仮面ライダーガヴ。
ジャンプを活かした必殺技が、アクロバティックなガヴらしさであり、昭和ライダーへのリスペクトも感じられます。
最後通告とばかりに「どうする、二度と闇菓子に関わらないか、それとも俺に倒されるか」と告げるガヴの姿を見ていた絆人。
結果として通告は破られるものの、その姿から相手が人間である可能性を見出すのが良いですね。
相手と言葉を交わし、思いやるのは、まさに人間性。
絆人とは正反対に、グラニュートか、あるいは別の生命体か、と問いかけるグラニュート研究家(?)酢賀研造。
人間としてはちょっぴり残念な雰囲気を醸し出す彼が、絆人に何をもたらすのか?
そして、仮面ライダーヴァレンの変身アイテムのナレーションは、やっぱりこの人の担当なのか!?
と、波乱を呼ぶ一方、筋元の勤務先は会社を畳むことに。
この世知辛い世の中、工場はどうしようもないところまで来ていたんでしょうね。
謝る筋元に、お前に何とかして欲しくて拾ったんじゃないと諭す"オヤジさん"。
そして、「もう一度、田中さん所に頭下げに行くぞ」と。
短いやり取りの中で、"オヤジさん"の人格者ぶりが分かると同時に、筋元さんが自身の犯罪行為を無かったことにしなかったことが伺えます。
筋元さんも、また"オヤジさん"とお菓子を食べれると良いですね。めでたいときに。