第3話『想像力を解き放て!』
アーク/ユウマの初陣を描く、エピソード0的な回。
なので、時系列が少し前後するのですけれど、その説明があまりあからさまで無いのがオシャレ。
考えてみれば、大人はキチンと台詞を追いかけていれば理解できますし、お子さんには「今回はルティオン(アーク)対ディゲロス、アーク対モノゲロスのお話だよ!」と言うことを分かってもらえれば十分なわけで。
そんなわけで、お祖母ちゃんに見送られたユウマの初出勤。
これまでのエピソードと比べても、ユウマの表情がかなり初々しいのが新鮮。
怪獣もまた自然災害、学校でも習うような話になっている、とこれまた世界観を補完する会話が多く展開。
この情報量、第1話と第3話が別エピソードになっていて実に良かったと感じるポイント。
コレが一話に詰め込まれていたら、振り落とされる人も出ていたかもしれませんね。
そんな折、休憩時間にユウマの過去に踏み込むリン先輩。
怪獣災害の被害者でもあるユウマに、これからどれくらいの距離感、配慮を持って接するべきか判断するために、敢えて切り込んだのでしょう。
SKIPの仕事は怪獣との直面が避けられないこと、そして怪獣がいつ現れるかも分からないことを考えると、大正解なタイミングだったと言えるでしょう。
そして語られるユウマの過去。
子供番組の範囲内ではあるものの怪獣”災害”のハードさが必要十分に描かれた映像。
飛世一家の仲の良さが、短いやり取りの中で表れているのが辛い。
モノゲロス出現の土砂に巻き込まれた両親は、流血描写こそないものの、これは助からないと言うのが分かります。
それでもなお、「走れ、ユウマ!」と叫ぶお父さんの人格者ぶり。
この出来事は、ユウマにとって辛い経験でもあると同時に、自らの命を守りぬいた、いわば成功体験として彼を支えているのだろう、と察せられるのが複雑。
とはいえ、一方でルティオン*1(アーク)対モノゲロスの格好良いアクションシーンとしても描写されていて、子供達が画面の前から離れないように、と言う配慮も感じられます。
巨人に救われ、3日後、土砂の中から発見された、と言う台詞に留められていますけれど、ここもまた辛い。
両親を亡くしたばかりの子どもが、土砂の中で何もできず3日間、と言う地獄のような時間。
そして、巨人の話は「夢を見た」と言われた、と。
よく心が折れず、歪まず走り抜いてきてくれた!と思わずにはいられません。
空中で瞼が開くようなゲート?から出現した、新たな2本角のモノゲロス=ディゲロス。
始まりの怪獣でありながら、無機質なその姿は、初代『ウルトラマン』最後の怪獣であるゼットンを思わせます。
悪夢の再来の如きその威様に、一度はパニックになりかけるユウマ。
叱咤するリン。
「新人くん」、から名前呼びになるシーンがここまで男前になることがあるのか!と驚きました。
リンの持つ芯の強さが強く感じられた場面でした。
リンの叱咤を受けて再び走り出したユウマは、祖母の居る幼稚園に。
ここで独断行動に走ってしまうのは、まだまだ新人だからこそか。
絶体絶命と言うときに、ユウマはミラーワールド*2……鏡の中のような世界へ。
そこで対面したルティオン*3の言葉を受けて変身!
こういう時、どうしてアイテムの使い方が分かるのか?と野暮なツッコミをしたくなることもありますけれど、今回はそんなこともなく。
何しろ、全てはユウマ自身の想像力から生まれたパワー。
使い方も、戦い方も、全てはユウマの内にある!
さぁ、謎の光の巨人=ウルトラマンアークの初陣だ!
互いにバリアを使いこなすなど、一進一退の攻防を繰り広げるアークとディゲロス。
それを見た子供たちが一様に笑顔に。
このあたりのリアリティは分かりませんけれど、辛い経験をしたユウマ(アーク)の姿が今まさに辛い現状に居る子供たちを笑顔にしたと言うのがグッときました。
それに、制作陣から今の子どもたちへの祈りのようなものも感じます。
そして、今週のウルトラ大喜利想像力を解き放て!
必殺光線の拳を固め、鞭のようにしならせて、死角から攻撃する、と言うまさかの使い方。
思えば、バリアの死角から攻撃すると言うのはシリーズの伝統ではありますけれども、曲がる光線と言う表現は『ウルトラマンZ』最終回を経て、さらに洗練されたようにも感じます。
……と言う過去をユウマが夢の中で回想していた、と言う描写から、時系列は現在へ。
時系列の都合上、ここまで出番の無かった石堂シュウとのやり取りは十分な印象付けに。
通学路を通勤路と訂正する、それぞれのキャラクターの見えるやり取りから、石堂さんのコーヒーへのこだわりの話に。
石堂さん、ブラックコーヒー原理主義とは……。
次回、ソリスアーマー大登場。