ムソウノカキオキ

管理人の好きなこと(アニメ、特撮、オモチャetc)についてつらつらと語っていくブログです。色々遅いですが、よろしければコメントなどもお気軽にどうぞ

二次創作『仮面ライダーエグゼイド』妄想最終回

 『仮面ライダーエグゼイド』がゴルフ中継で一週お休みだったことで生まれた行き場のないエネルギーでこんな妄想小説を書き上げました。
 コンセプトは、『なりそうだけどならない&なって欲しくない最終回』

 なお、この妄想小説は『仮面ライダーエグゼイド』の今後の展開、及び東映バンダイをはじめとする番組の権利者様とは一切関係がないこと、及び作品の権利は権利者様方に帰属することをご承知おき願います。

 

 


 仮面ライダーエグゼイド サイシュウ回『それぞれのfarewell』

 「小姫……」
 幻夢コーポレーションの地下で、鏡飛彩は呟いた。
 彼の前に百瀬小姫はいない。
 否、最初から彼女はいなかった。
 いたのは百瀬小姫という女性の、過去のデータ。
 飛彩は、自らの手でそれを切り捨てることを選んだ。
 ドクターであることを捨ててまで小姫に執着することは、小姫の思いを、小姫の願いを踏みにじることだと分かったからだ。
 ---世界一のドクターになって---
 それが、彼女の願いだったから。
 「小姫……」
 しかし、その選択は飛彩自身の心にも深い傷を残した。
 飛彩は、外の方へ目をやった。
 そろそろ、全てが終わる頃だった。
 

 

 『ガッシューン!』
 CRと仮面ライダークロノスとの最終決戦。
 決戦を制したのはエグゼイドだった。
 「ここまでです、壇正宗さん。仮面ライダークロニクルは、もうお終いです」
 クロノスの変身が解除された正宗に、同じく変身を解除した永夢は言った。
 「お終い、お終いだと。ハハ、ハハハハ!終わるものか。仮面ライダークロニクルは始まるよ。何度でも!」
 「こんなことを続けて何になるの!?」
 そう言ったのは仮面ライダーポッピーことポッピーピポパポだった。
 「そうですよ!このゲームは参加したが最後、プレイヤーは死ぬか、バグスターになるしか無い。そんなことをして何になるんですか!?」
 「どうしてだったかねぇ……。そんなことは忘れたよ。ただひとつ言えるのは、何物をも超越したいというのは人の欲!業だ!君が救うべき”人間”が決して逃れなれない物だ!!」
 「そんなこと……」
 「その男のいう通りだ、宝生永夢。私達親子のように才能を持って生まれた人間はどんな形であれ、それを活かさずにはいられないものさ」
 露悪的な笑みを浮かべ、仮面ライダーゲンムに変身している新壇黎斗が永夢を遮った。
 その時、正宗の背後に仮面ライダーレーザーターボが現れた。
 「おお、”爆走バイク”か。ちょうどいい、君も手伝ってくれ。エグゼイドを絶版に……」
 政宗が言い終える前に。
 ドス、と鈍い音とともに彼の背中が貫かれた。
 「悪いけど自分、この時をずっと待っていたんで。アンタを殺せる、この時を」
 ガシャコンバグヴァイザーを深々と突き立て、冷たい声でレーザーターボは言った。
 「なぜ……。私は、お前を……」
 「ああ、復活させた。バグスターとしてな。んで、バグスターは人類の敵。それが仮面ライダークロニクルのルールだろ?自分、ソレに従っただけなんで」
 「九条貴利矢……貴様!」
 変身しようとする正宗。
 しかし、レーザーターボはその前に正宗の背を蹴りつけ、引き抜かれたバグヴァイザーで正宗の喉を掻ききった。
 「さ……!」
 それが、全ての命のルールとならんとした男の、呆気ない最期だった。
 「貴利矢さん!」
 永夢は叫んだ。
 目の前で命が奪われた悲しみと、今まで呆然と見ていることしかできなかった自分への怒りを込めて。
 永夢は知っていた。レーザーターボが正宗に殺意を抱いている事を。
 ---壇正宗を殺すのは自分だ---
 海岸でのやり取りで、こう耳打ちされた日から。
 「悪いな名人。自分、九条貴利矢じゃない。ヤツのデータから復活したただのバグスターなんで」
 言って、仮面ライダーレーザーターボは変身を解除し、代わりにバグヴァイザーのスイッチを押した。
 「培養」
 『Infection! Let's Game! Bad Game! Dead Game! Whatcha Name?! The bugster!』
 彼の姿がバグスター---ターボバグスターに変わる。
 「お前らが派手に戦ってる裏で、自分は全てのバグスターを支配する方法を探してた。ンで、ここに最後のピースがある。クロノスのガシャット、仮面ライダークロニクルのマスターガシャットが」
 地に落ちたクロノスのベルトからガシャットを引き抜くと、残ったベルトを無造作に永夢の方へ蹴り飛ばした。
 「やめてください、貴利矢さん!」
 「だから、俺は九条貴利矢じゃないんだって」
 『ガシャット!』
 ターボバグスターがクロニクルガシャットをバグヴァイザーに装填すると、この世界に存在する全てのバグスターが現れる。
 ソルティバグスター、アランブラバグスター、リボルバグスター、モータスバグスター、ガットンバグスター、バーニアバグスター、カイデンバグスター、チャーリーバグスター、グラファイトバグスター、そして人間体のパラド。
 「まさか、お前がラスボスになるとはな。……何を考えてる?」
 ターボバグスターの横に立ったパラドが、いつもの笑みを消してターボを睨む。
 「なんでも良いだろ?それよりほら、お前の遊び相手は目の前だ。少なくとも自分は、お前の邪魔をするつもりは無いぜ?」
 「良いように使われるつもりは無いけど、どうやらココが俺達の最終ステージみたいだな、永夢。変身!」
 『赤と青の交差!パーフェクトノックアウト!!』
 仮面ライダーパラドクスに変身したパラド、そしてほかのバグスターたちが永夢に襲いかかる。
 「クッ!」
 パラドクスの一撃を避けた永夢の目に、政宗のバグルドライバーⅡが目に入る。
 バグスターを完全消滅させる”ポーズ”の力を秘めた仮面ライダークロノスのベルトだ。
 「使えよ、永夢。リプログラミングの力を持ったお前なら、そいつにノれるはずだぜ?」
 バグスター達の奥から、ターボバグスターが言った。
 「……ファイナル大変身!」
 自らを鼓舞するように叫ぶと、永夢はバグルドライバーⅡを装着、マイティアクションXガシャットをバックルに装填、そして右腰に出現したガシャットホルダーにマキシマムマイティXガシャットを装填する。
 『マイティマイティマイティアクション!!マイティマイティマイティアクション!!』
 永夢の姿が緑と紫の仮面ライダーエグゼイド クロニクルアクションゲーマーへと変わった。
 「しょっぱい!しょっぱいぞ!」
 「最終決戦モードに移行する」
 ソルティとガットンバグスターが、我先にと永夢に襲いかかる。
 「ハァ!」
 そのソルティとガットンを、しかし永夢はガシャコンキースラッシャーとガシャコンブレイカーの一撃で倒した。
 永夢は、バグスターが完全消滅した手応えを感じた。
 クロニクルアクションゲーマーの攻撃には一撃一撃に”ポーズ”と同等の力が込められているのだろう。
 「これは、一体……」
 「おーやおや。これはとんでもない代物が出てきたな」
 戸惑う永夢に、白々しく驚いたふりをするターボバグスター。
 「絶対分かってたよな、アイツ……。けど、心が躍るな、永夢!」
 「パラド!」
 パラドクスの一撃を二本の剣で受け止める永夢。
 「たったひとつしかないライフを賭けてのバトル!こんなにスリリングなゲームは、ハハ!他に無いだろ!」
 猛攻をしかけるパラドクス。その表情は仮面に覆われて分からない。
 「パラド、お前は確かに僕から生まれたバグスターだ!」
 「そうだ!だからこそ俺とお前は戦う運命にある!」
 「いいや!今の僕はドクターだ!たとえお前が何者であろうと、ドクターにとってバグスターは患者を救うための、ただの障害だ!」
 『キメワザ!マイティ!クリティカルクルセイド!』
 パラドに向かって必殺のキックを放つ永夢。
 「だから、どけ!」
 『会心の一撃!』
 強力な威力に、パラドクスのゲーマドライバーが砕け散る。
 「ゲームはまだ終わりじゃないぜ!」
 攻撃を受けて半壊したガシャットギアデュアルを、パラドは自分の体に突き刺した。
 「培養!」
 パラドの姿が赤と青の左右非対称の怪人へと変わる。
 彼の真の姿、パラドバグスターだ。
 「この新しいプレイスタイル!捌ききれるか、永夢!」
 パラドバグスターは青い泡のように変化しながら移動し、エグゼイドに向かって強力な炎を放った。

 

 

 永夢たちが戦っている最中、仮面ライダースナイプこと花家大我と西馬ニコは幻夢コーポレーションに潜入していた。
 どれほど強力な警備もクロノス不在の幻夢コーポレーションでは、仮面ライダーの力の前には為す術もなかった。
 そんなわけで、思いの外呆気なく2人は目的の場所にたどり着いていた。
 プロトガシャットが入ったケースの保管室だ。
 「ここに、今までゲーム病で死んだ奴らのデータがあるんだね」
 「あ、ああ……」
 いつも通り強気なライドプレイヤー・ニコとは対照的に、スナイプはどこか力なく答えた。
 「ちょっと、大我。アンタ、マジ大丈夫なわけ!?」
 大我の体調は、ここのところ目に見えて悪化していた。
 彼は元々、使用者に多大な負荷をかけるプロトガシャットで変身した最初の仮面ライダーだ。
 加えて、最近は激戦に次ぐ激戦。
 もう変身しないほうが良いのでは……。
 ニコは、自分でも信じられないほど弱気な意見を口にしそうになる。
 しかし、
 「当然だ。俺にはやることがある」
 こう言われれば、弱気な言葉など引っ込ませない訳にはいかない。
 「ついに壊すんだね、プロトガシャット」
 「ああ。死んだヤツらのデータを、もう誰にも好き勝手させねぇ。それがゼロデイを防げなかったヤブ医者のケジメだ」
 プロトガシャット以外にバックアップデータの類が無いことは調査済みだった。
 元々、人間のデータと言う膨大な容量を記録できるモノはライダーガシャットくらいしか無かったのだ。
 大我はケースに入った10個のプロトガシャットを見た。
 慎重な壇正宗の元で保管されただけはあり、どれも傷一つ無い。
 いや、プロトドラゴナイトハンターZだけはよく見ると……。
 「やめてくれ!」
 プロトガシャットにガシャコンマグナムを向ける大我の前に、一人の男が立ちふさがった。
 飛彩の父、鏡灰馬だ。
 「どけ」
 大我は銃を向けるが、灰馬はプロトガシャットを我が子のように抱え、首を横に振る。
 「アンタも分かってるでしょ!そこにあるのは単なる過去のデータ。そこから復活してもソレは人間じゃなくてバグスターなんだってこと!」
 ニコが一際強い口調で責める。
 大我の悲壮な決意を目の前で見てきたからこそだ。
 「それが何だ!ここには、小姫ちゃんのデータも残っているかもしれない。もしかしたら、まだあの子の意識を完全に元のままで復活させることだってできるかもしれないんだ!」
 「女々しいぜ、院長。お前の息子はもう決断した。それを台無しにするつもりなのか」
 憔悴した口調だが、はっきりとした意志を込めて大我は言う。
 「花家くん。君は知らないだろうがな……飛彩は笑ったんだぞ!あの不器用な飛彩が、小姫ちゃんには!私は、あの笑顔がまた見れるのなら、何だってする!バグスターの力だって……!」
 そこには、普段の小心者な院長の姿はなかった。
 本心から息子の幸せを願う父親の姿だけがあった。
 「……どけ」
 大我は目にも留まらぬ速さで手刀を灰馬の首に食らわせた。
 軽い一撃だったが、人1人を気絶させるには十分だった。
 「大我……」
 ニコが心配そうに大我を見た。
 ニコからは、スナイプの仮面に覆われた大我の表情は見えない。
 スナイプは気絶した灰馬の手からプロトガシャットを奪った。
 そして、プロトガシャットに向かって銃弾を叩き込んだ。
 何発も何発も、ガシャットが粉々になるまで。
 「終わったね、大我」
 ニコの呼びかけに、大我が答えることはなかった。

 

 

 エグゼイドとバグスターの戦いは続く。
 パラドバグスターの猛攻を受けながらも、永夢は次々とバグスターを撃破していった。
 アランブラ、リボル、上空から襲い掛かってきたバーニアバグスターにガシャコンキースラッシャーの必殺技を見舞った。
 「私の魔法が!?」
 「撤退、撤退ー!」
 「爆撃、叶わず……!」
 そして、パラドと共にグラファイトバグスターが立ちふさがった。
 「終わりだな、エグゼイド!ゲムデウスの力を取り込んだ俺とパラドのコンビは無敵だ!」
 ゲムデウスと一体になり、白銀に輝くレベル99となったグラファイトが吠える。
 「お前が隣りにいてくれて、こんなに心が踊ることが来るとは思わなかったぜ、グラファイト
 「最高の褒め言葉、ありがたく受け取らせてもらう!」
 2人は抜群のコンビネーションでグラファイトファングとガシャコンパラブレイガンの攻撃を放つ。
 攻撃をことごとく避けるトリッキーなパラドバグスターと、攻防に優れたグラファイトバグスター。
 対照的な2体は、しかしだからこそ鉄壁のコンビネーションで永夢を追い詰める。
 「とどめだ、エグゼイド!ドドドドドドド白銀覇王剣!」
 必殺の一撃を放たんと、剣を振り上げるグラファイト
 万事休すか、と思った瞬間。
 『会心の一発!』
 彼方からの攻撃がグラファイトを貫いた。
 「グラファイト!」
 パラドが信じられない物を見るように叫んだ。
 「そんな……俺が一撃で……」
 グラファイトが呆然と呟く。
 彼は知る由も無かったが、グラファイトとゲムデウスという異なる2体のバグスターが融合した継ぎ目とも言うべき部分が、グラファイトレベル99の唯一にして最大の弱点だったのだ。
 先程の攻撃は、ソレを正確に狙ったものだった。
 「ハ!」
 完全消滅の一撃をグラファイトに浴びせた永夢は、先程の攻撃の主を探す。
 永夢の視界の先に、青い騎士が見えたような気がした。
 「飛彩さん!?」
 その姿は、すぐに戦場の炎に紛れて消えてしまう。
 「行け、永夢!」
 しかし、永夢は飛彩からそう言われた気がした。

 

 

 「我が、一撃……!」
 「オー、マイ、ガッシュ!」
 『GAME OVER』
 チャーリーとカイデンと相打ちになった仮面ライダーゲンムが消滅した、かと思いきやターボの足元に土管が出現した。
 「九条貴利矢!」
 土管から飛び出たゲンムがターボに一閃を食らわせんとする。
 「おおっと。無茶するねぇ。捨て身の一撃ってヤツ?」
 傷を受けながらも余裕で切り返すターボ。
 「フフ、私にはまだ90近いライフが残っている。父親の仇討ちなど気取るつもりは無いが、お前を倒すためならこれ位なんてことはない」
 「黎斗、無茶しないの!」
 自慢気な黎斗を近くで戦っていたポッピーが諌める。
 「そうそう、アンタの攻略法はもうできてるンだからさ」
 ターボバグスターが指を鳴らすと、周囲に大量のバグスターウィルスが現れる。
 その数、約90。
 「貴様、まさか……!?」
 「そ、コンティニューってのは、つまり別のバグスターの体に自分のデータを『上書きする』ってことだろ?その体を全部呼ばせてもらったってワケ」
 「天才ゲームクリエイターである私を出し抜いたというのか!?」
 「こっちは壇黎人の親父さんを相手取ってたんだ。これくらいやるさ。……行け」
 確固たる意志を持たないバグスターウィルスは、ターボの言葉に容易に従う。
 「お前たち、私に逆らうというのか!私の体のクセに!」
 怒りのままにガシャコンブレイカーを振るうゲンム。
 しかし、あまりにもバグスターウィルスの数が多い。
 「黎人、危ない!」
 その声に振り返る黎斗。
 背後から自分に向かってバグヴァイザーを振りかぶるターボバグスター。
 そして、それを庇う……
 「ポッピー!!」
 武器に貫かれ、消滅するポッピー。
 「貴様、父のみならず母までも!!」
 余裕ぶった表情をかなぐり捨てて、黎斗は今まで誰にも隠してきた激情を露わにした。
 『ゾンビ!クリティカルフィニッシュ!』
 「それは壇黎斗の、だろ?あんたは違う」
 怒りの剣戟に、しかしターボバグスターは落ち着いた素振りで避ける。
 圧倒的な反応速度とスピード、それがターボバグスター最大の武器だった。
 「あんたは壇黎斗のデータを持っているだけの、ただのバグスターだ」
 剣を振り抜いた一瞬のスキを突き、ゲンムに強力なカウンターを食らわせるターボ。
 そこに、大量のバグスターウィルスが、新壇黎人のライフになるはずだったモノたちが槍を突き立てる。
 「最期の敵は、私自身か……」
 皮肉げな笑みを浮かべ、新壇黎斗は消滅した。
 『GAME OVER』
 その文字が花火のように大々的に、虚空へと表示された。

 

 

 『GAME OVER』の文字を見た瞬間、永夢は力がガクンと落ちたのが分かった。
 「ゲンムの奴の置き土産か」
 パラドが苦々しく呟いた。
 「どういうことだ!」
 「大方、自分のライフが尽きるのと同時に、レベル0の力がバクダンみたいに撒き散らされるギミックになってたんだろ」
 「なら、僕たちは……」
 「バグスターの力は大幅ダウン。永夢、お前の中のバグスターウィルスも遠からず無くなって変身できなくなる」
 パラドの言葉に、永夢は自分たちの戦いに残された時間が少ないことを感じた。
 「そうなる前に全部終わらせる!」
 「奇遇だな、俺もコレで最終ラウンドにするつもりだったんだよ!」
 パラドバグスターの左拳が炎に包まれる。
 永夢は冷静に、ガシャコンキースラッシャーにゲキトツロボッツとマイティアクションXガシャットを装填する。
 「おりゃ!」
 「ハァ!」
 『キメワザ!ロボッツ!アクション!』
 パラドバグスターの渾身の一撃に、永夢はカウンターを見舞う。
 キースラッシャーから放たれた、何物をも掴むロボットアーム『ゲキトツスマッシャー』が、アクロバティックな動きでパラドバグスターに迫る。
 「こんなんで俺を捕まえられるかよ!」
 ゲキトツスマッシャーを軽々と避けるパラドバグスター。
 しかし、ゲキトツスマッシャーに気を取られた一瞬の間に永夢が接近していた。
 「何の真似だ!」
 「こうするんだ!」
 永夢はパラドバグスターを羽交い締めにした。
 2人に向かって、ゲキトツスマッシャーが急カーブを描き近づいてくる。
 「よせ、止めろ!」
 精一杯の抵抗をしようとするパラド。
 しかし、その前に永夢の足が、落ちていたエナジーアイテムに触れる。
 『凍結化!』
 永夢と、彼に拘束されていたパラドがアイテムの効果で動けなくなる。
 「これで終わりだ!」
 スマッシャーが2人に迫る。
 『会心の一発!』
 必殺のパンチが叩き込まれ、永夢とパラドが吹き飛ばされる。
 人間体に戻ったパラドがグラリと立ち上がった。
 「ウソだろ、お前……どうしてこんな真似できるんだよ?」
 それに対して、永夢は顔を起こして言った。
 「お前が自分の不利になるアイテムを取るような凡ミスをする訳が無いことくらい分かってた。だから、こうするしか無いって思っただけだ」
 「そういう事じゃない!」
 パラドが絶叫した。
 「人間は一度死んだらコンティニューできないんだろ!?なのにどうしてこんな、自分のライフを捨てるようなことできんだよ!?」
 仲間が完全消滅してパラドは初めて死ぬことの真の恐ろしさを知った。
 そして、その恐怖を克服できなかったのだ。
 「いくつライフがあったって、ここで体を張ってでもお前を倒さないと、ドクターとして、僕として、一生後悔する。そう思っただけだ」
 「後悔しないために命を賭ける、か……」
 そう呟いて、パラドは消滅した。
 その表情はどこか満足げだった。

 

 

 「俺の、スピード……」
 パラドに続いてモータスを倒し、永夢はターボバグスターの前に立ち塞がった。
 他のバグスターは既に消滅していた。
 「よ、ご苦労さん」
 最後のバグスターであるターボは片手を上げて永夢を迎えた。
 「貴利矢さん、あなたが最後です」
 「だろうな」
 「一応聞きますけど、引くつもりは無いんですね?」
 剣を握り直し、永夢は問いかけた。
 「ああ、人間とバグスターとのラストバトル。それを今ここで演出するのが自分の役割だからな」
 「……誰が決めた役割ですか?」
 「決まってるだろ?九条貴利矢だ」
 ターボバグスターは天を仰いだ。
 「俺は九条貴利矢の記憶と思いを全部持ってる。でもな、それでも俺は人間じゃなくてバグスターなんだよな。九条貴利矢が根絶すると決意していたバグスターの一体」
 「貴利矢さん……」
 「九条貴利矢であって九条貴利矢じゃない。そんな自分がここにいる意味があるとすれば一つしか無い。バグスターの立場から、バグスターを根絶することだ」
 「それで、良いんですか?」
 「ああ。その決意は九条貴利矢のモンだけど、それを引き継ぐことは自分が自分で決めたことだ。永夢、お前も九条貴利矢から想いを引き継いだんだろ?今がソレを果たすときだ」
 「貴利矢さん……」
 永夢は、剣を振り上げることができない。
 「どうしたエグゼイド!患者の笑顔を、死んだ九条貴利矢の笑顔を守るんだろ!?」
 その言葉に、永夢は二本の剣を振り上げた。
 「うわああああああ!」
 我武者羅に権を振るう永夢。
 ターボバグスターもまた、ガシャコンバグヴァイザーと車輪状の武器を苛烈に振るう。
 「俺のスピードに着いてこれるか、永夢?」
 圧倒的な高速戦法で永夢を翻弄しようとするターボ。
 「着いてきてみせる。僕はそのためにここに来たのだから!」
 言って、永夢は爆走バイクガシャットを取り出す。
 『キメワザ!爆走!クリティカルストライク!』
 爆走バイクのスピードとマイティアクションのアクロバティックなアクションでターボバグスターの動きに追いすがる永夢。
 紫と黄色、双剣とチェーンソーが超高速で激しくぶつかりあう。
 そして。
 「これで終わりだ!おりゃ!」
 「ええ、終わらせます!ハ!」
 『キメワザ!クロニクル・クリティカルフィニッシュ!』
 『キメワザ!マイティ!クリティカルサクリファイス!』
 エグゼイドとターボ、双方の必殺技が交錯する。
 そして、最後に勝ったのは……
 「永夢、お前ホントすごいわ」
 ターボバグスターが倒れた。
 「貴利矢さん……」
 こうして、2人は九条貴利矢から託された使命を果たしたのだった。

 GAME END.

 

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