ムソウノカキオキ

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『爆上戦隊ブンブンジャー』第15話簡単感想

バクアゲ15 錠とキー

 

 善良な怪人とヒーローの交流譚、と言う昔の戦隊ではしばしば見られた王道回。
 とはいえ、近年ではなかなか見られないパターンかもしれません。
 ひょっとすると『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018年)*1以来?あの時でも久しぶりな感じがあったかも。
 しかしながら、テッパンのシチュエーションだからこそ、各戦隊の個性が映えるのもまた事実。
 特に今回は、ブンブンジャーの中で最も王道ヒーローに近い錠だからこそ、と言う部分が多く見られました。

 

 冒頭で、子どもらしく?恐竜に惚れ込むヤルカー。
 そんなヤルカーを「ちょっとうるさいわね」と口を塞ぐイターシャ。
 実に彼ららしいやり取りですが、後から思えばその後の示唆のようにも見えます。

 

 トリケラトプス、ではなく、シーミアサウルスと言う架空の恐竜をもとに生み出されたカセキグルマー。
 誕生後の描写から臆病な性質と、それに錠がなんとなく気付いていた描写があるのがポイント。
 しかしシーミアサウルス、三本角の頭に細い手足、となかなか突飛な姿をしておりましたね。
 
 ひょんなことからカセキグルマーを匿うことになった錠。
 そんな彼の行動をアシストする玄蕃と、「君はどうしたい?」と問う大也。
 ハシリヤン倒すべし、とならないのは、民間人戦隊であるブンブンジャーならでは。
 大也の問いに対して、一晩一緒に居ることで証明する、と言う錠。
 ここで感情論に走らないのは、年齢高めな相手同士らしい、建設的なやり取り。
 さらに言えば、錠は自分の命を賭けているので、大也が認めるには十分なチップとも言えます。
 
 そして作中時間にして一晩、放送時間としては数分ほどの、錠とカセキグルマーの交流。
 それだけでも気が付けばカセキグルマー=キー太郎に愛着が湧いてくるのがすごい。
 自分用のシュークリームはあげない、と言うのは健啖家の錠らしいですが、食べられたらそれはそれと許すのが彼の優しさ。
 
 翌朝、シャッターのスイッチを入れる錠。
 自動で開いていくシャッターは、逃れられぬ運命の暗示なのでしょうか。
 そして、目の前にはサンシーターたちが!?
 情感とインパクトがたっぷりな絵面。
 一方で、いずれにせよキー太郎の姿を隠すためには、裏口を使った方が安全だったのでは?と言う気もしますが、錠も起き抜けで油断していたのでしょう、たぶん。
 
 ともあれ、キー太郎を守るべく奮闘する錠=ブンブラック。
 煽りで撮られた後ろ回し蹴りにはハッとさせられましたね。
 本作のアクションはヒーロー(スーツアクターさん)一人一人の身体能力のすばらしさをしっかりとアピールしていこう、と言うスタイルが感じられて素晴らしい。
 
 颯爽と助太刀に現れた仲間たち(一晩中気にかけていたんだろうなぁ)もあって、どうにかなるかと思いきや、「わたくしめ」ことキャノンボーグの介入が。
 暴走したカセキグルマーは暴れだし、遂には巨大化。
 
 これを失敗と評するキャノンボーグが「ギャーソリンを無駄食いするだけ」と評するのが、設定を感じさせますね。
 巨大苦魔獣になってしまうのは、ハシリヤンとしても好ましくないのか。
 と、なると毎回ヤルちゃんがやっていることは一体……?
 
 「やれー、カーの恐竜!」と無邪気に応援するサンシーター。
 視聴者視点では残酷に見えますが、彼らとしては平常運転。
 もともと人々が苦しんでるのを見て「ギャーソリンだ!」と喜ぶくらいには共感性の低い連中なのだと言うことを改めて突き付ける形に。
 それだけに、今後どうなっていくのかは気になるところ。
 悪党として処断されるのか、あるいは悪童として改心の機会が転がり込んで来るのか。
 とはいえ、今回が完全なシリアスになりすぎない、清涼剤の役割を担っていたのも確か。
 
 暴走したカセキグルマーによって、瞬く間に大惨事となった街。
 その有様に慟哭する錠。
 しかし、他のメンバーが人々を助ける姿を見て、自分の使命を思い出す―――。
 
 ここで、同僚からの叱咤激励が飛んでこないのが『ブンブンジャー』らしいところ。
 一人一人が自ら背負う使命が完全一致するわけでは無い、しかし重なるところがある者達が共にいるのが、彼ら爆上戦隊ブンブンジャー。
 だからこそ、自分で握ったハンドル/使命は、自分で立て直す。
 あるいは、人々を守る大也たちの『背中で語る』、と捉えれば実に昭和的とも言えますね。
 
 覚悟を決めた錠と共に、ブンブンジャーロボモンスターが発進。
 このとき、ブンドリオもまた錠の悲しみをしっかり背負って戦っていることが感じられるのが良いですね。
 この辺りは、松本梨香さんの演技が光ります。
 
 戦いは日暮れにまで及び、慟哭の必殺技でフィニッシュ。
 敢えて聞かせず、しっとりとしたBGMのみ、と言う情感のある名シーン。
 ドス黒く染まっていたキー太郎の目が元に戻るのが、必殺技を受けた”あと”と言うのがやるせない。
 
 事件は解決し、恐竜の化石は無事に返却され、サンシーターはまた新たな苦魔獣探し。
 物語はいつも通りのめでたしめでたしへ。
 錠の心の葛藤とは別の話として……
 そこへそっと寄り添う仲間たち。
 涙を見せない錠に、大也が軽く肩を抱くのが、シャイな彼の気遣いが感じられます。

 

 

 

*1:#31『自首してきたギャングラー』