バクアゲ9『届け屋たちのハンドル』
前回、マッドレックスと相打ちになり、大也も重傷を負ったブンブンジャー。
それを受けて、ISAからのブンブンジャー解散通告。チームにとっては受け入れられない通告。
しかしながら、民間人に地球防衛を丸投げしたままにしようとしないISAは、結構ちゃんとした組織なのでは?とも捉えることもできます。
果たして、ISAの詳しい内情が描かれるときはくるのでしょうか。
ブンドリオによるモノローグ。
松本梨香さんと藤田洋平さん、キャリアのある声優さんとアクターさんによる、演技が素敵。
荒んでいた過去があるからこそ、夢を見る素晴らしさを知るブンドリオ。
ブンブンの大人びた部分や陰の部分をチラリと見せつつも、全体のトーンとして暗くなりすぎない絶妙な塩梅でした。
それを受けての調さんは、「戦隊にとってのお姉さん」くらいの年齢感だからこその良さがありました。
爆上戦隊側のように、まっすぐに感情のまま即時行動できるほど若くは無い、けれど感情と理性を容易く切り分けてしまえるほど大人でも無い。
歴代シリーズにも戦隊を見守る人々は数多くいましたけれど、爆上戦隊と調さんの関係は、今までに無かった距離感なのでは無いでしょうか。
マッドレックスに立ち向かう4人。
フロントガラスに叩きつけられる表現は、『ウルトラマン』シリーズ的でもあり、短いシーンながら「おお!」と思わせられるところ。
4対1の数的不利をものともしない姿は、改めてマッドレックスの強さが印象付けられます。
複数回、戦隊と激突したマッドレックスですが、一貫して強敵として描かれたのは鮮烈でした。
そんな一同の前に、調さんからのまさかの届け物=範道大也。(ブンブンスーパーカーが実際に動いているのも嬉しい!)
「マッドレックス、決着をつけよう」と一騎打ちになるかと思いきや、未来たち4人からの待ったがかかる!!
そう、この場には自分のハンドルを他人に任せる者はいない。
勝利を自分たち自身の手でもぎ取るべく、いま再び5人が並び立つ。
まだまだ未完成な5人の関係ですが、何かあればこうして互いの意見を主張し合えるのなら、チームの行く末はきっと暗くない、そう感じさせる場面ですね。
連携攻撃を仕掛ける5人。思えば、ブンレッドとマッドレックスの一騎打ちから戦ったこの戦いは、スーパー戦隊らしい連携戦でなければ決着がつけられないものだったのかもしれません。
それでもなお強力なマッドレックスへ、起死回生のブンブンハンドリングドライブを放つ5人。
急所とばかりにマッドレックスのネジを狙うのは、ブンブンハンドル・ロッドモードのギミックを巧みに活かしつつ、第1話の巨大戦でバクアゲドライバーを巧みに扱っていたブンブンジャーロボを思い出させるところ。
追いつめられたマッドレックスは、ヤルカーのギャーソリンを要求。
拒否するヤルカーを「マッドレックスさまの勝利のために」と躊躇なく差し出すデコトラーデとイターシャ。
かねてから悪童的な関係性を感じさせるサンシーターでしたが、ここにきて彼らの関係の負の部分が露わになったように見えます。
楽し気に一緒に居る間柄ではあるけれど、互いを思いやるどころか、上役の為に仲間を差し出すことを当然とする関係。
しかも、そのブラック思考を疑問に思わない。
ある意味での悪党らしさを垣間見せた3人の関係性は、一体どうなっていくのでしょうか?
ブンブンジャーとサンシーター。2つのチームの行方は、同じくらい気になるところ。
ブンブンレーシングを「みんなの力」で乗りこなすと宣言する大也。
前回の巨大戦は1人(とブンブン)で突っ走って行った姿とはまさに正反対。
ブンブンジャーロボナイトは炎のマントに高速移動、円月殺法、と短い中にも、いえ、だからこその見せ場がたっぷり。
さらにはブンブンカー軍団も登場し、総力戦の趣がさらにアップ。
戦い終わったブンブンジャーロボはブンドリオとしてブンブンカーにお礼を言うシーンも良いですね。
ブンドリオであり、ブンブンジャーロボでもある、と言う本作の魅力が詰まっています。
「ありがとう…………みんな」
ポツリと呟く大也。
ははぁさてはきみはシャイだな?と思わせつつ、大也と言う人物の問題点/個性はそのまま、とも言えます。
それに対して、大也自身が変わっていくのか、周囲が「そういうもの」として受け入れていくのか、あるいはその両方か。
その答えはきっと、彼らが爆上戦隊として走り抜く中で見えてくるのでしょう。