(fate/grand order より。 type-moon,FGO PROJECT)
最初に、前回の感想でキーサーヴァントに関して誤解を与えるような発言があったことを謹んでお詫び申し上げます。
あまりにも僕の勘ぐりが過ぎました。
さて、肝心のクリア後の印象といたしましては、まるで小説を一冊読んだような読後感でした。
1.5部では毎度のことながら賛否あるようですが、個人的には全体通して楽しめました。
クリア後に軽くクールダウンして、今はテーマ曲『清廉なるHeretics』をヘビロテしています。(それは本当にクールダウンしたのか?)
では、ここから先はネタバレ感想行きます。
前回の感想とは異なり、真名バレなどもまるっとあるので、未プレイの方はご覧にならないでください。
・”過去最大のボリューム”と言う謳い文句について
ぶっちゃけ、このキャッチフレーズはマイナスに働いたと思います(苦笑)
大ボリュームのシナリオは第1部にも存在しているので、ユーザーはどうしてもそれ以上のモノを期待してしまう。
体感的には、全シナリオの中では第1部第7章が最大だったかなーと言う気はします。
ただ、『セイレム』は1節ごとの情報量が多いので、大ボリュームと言うに相応しいモノであったことは確かです。
今回ほど非戦闘パートが多いと言うのも面白い実験だったと思いますし。
7章が”広い”シナリオなら、『セイレム』は”深い”シナリオだった、と言う印象(深淵的な意味でも)
確かに、終盤”巻き”進行だったと言うきらいもありますが、重苦しい展開が長くてもナンですし、それに最後の日に全てが怒涛の勢いで明らかになっていく……と言う流れは中々にカタルシスがあったのも確か。
・時限開放式システムについて
個人的に、今回導入されたメインシナリオ初の時限開放式システムは好意的に受け止めています。
自分は、メインシナリオをリアルタイムでプレイできるようになったのは『亜種特異点II アガルタ』からというにわかマスターですが、リアルタイムで遊んでいて一番怖いのがまだプレイしていないパートのネタバレなんですよね(苦笑)。
昨今の情報化社会において、先の展開を知らずにいたいと思っていてもネタバレ情報を得てしまうということは間々あること。『そのため、ネタバレを食らう前に少しでも早くクリアしなくては……と気が急いてしまうマスターは自分だけでは無いのではないかと。
ソレを考えると、開放までの期間限定とは言え、ネタバレを気にせず一節一節をじっくり読み込むことができる時限開放式システムは、自分のようなマスターにはありがたかったです。
クトゥルフ神話については僕もあまり詳しくはないのですが、ざっくり言うと原作者(?)H.P.ラブクラフトさんが「このネタを自由に使っていいよ」と公言している、様々な邪神を取り扱った作品群*1のこと、みたいです。
うん、これは確かに”「fate/grand order」史上最も異端で狂気に彩られたストーリー”*2だと納得しました。
いくら相手が二次創作三次創作自由自在とはいえ、fateシリーズとは異なるストーリー体系とのクロスオーバーなんですもの。
『英霊剣豪七番勝負』で伝奇小説や剣豪小説のオマージュをやりまくったからこそ出せるネタ、とも言えますが、中々に飛び道具でしたね。『ニャル子さん』で聞いた単語がバンバン出ているよと(笑)
もちろん、扱いは王道ホラーのそれで、クトゥルフ神話に詳しくなくても、外なる神と言うのが我々の理解を超えた何か恐ろしいものであることは伝わります。*3
逆に言えば、『fate』シリーズでガチホラーをやるにはこれくらいの飛び道具が必要なのかもしれません。だって、多くの王道ホラー作品で”理解できない恐ろしいもの”とされる魔術を使うヤツが主人公なんですもの。
そんな魔術師の理解を超えたオカルティックな存在を登場させるにはコレくらいの飛び道具が必要だったのかもしれません。
・アナログゲームと『異端なるセイレム』
クトゥルフ神話の他にも影響が指摘されるのが、テーブルトークRPGや人狼ゲーム(『汝は人狼なりや?』)と言ったアナログゲーム。
この辺りもあまり詳しくないのですが、戦闘外でもそれぞれの特技を活かして探索するサーヴァントや、敵対者を弁舌を通して暴いていくと言う構造は確かにテーブルゲームっぽいかも。
また、終盤にサラっと明かされた村人のほぼ全員が屍食鬼≒人狼だったという設定は人狼ゲームの体験者のほうが衝撃が大きかっただろうと感じます。
・プロフェッショナルチームなサーヴァントたち
ダ・ヴィンチちゃんたちが考え抜いて選抜しただけあり、今回カルデアからやってきたサーヴァント達はプロとして各々の特性を活かすシーンが多かったのが印象的。
知性と医療技術を発揮するサンソン、情報収集担当のマタ・ハリ、 諜報と斥候スキルを発揮するロビンフッド、脳筋気味ながら頼もしいボディガードの哪吒(ナタ)、魔術の専門家メディア=キルケー。戦闘力を発揮できないマシュの良心は疑心暗鬼に陥りそうになるパーティのブレーキ役として重要な存在でした。
各サーヴァントの役割がカッチリハッキリしており、異なる技能を持つ彼らが一つの事件に対して共に挑んでいく姿はこれまでとは少し違った趣で新鮮でした。
語り始めるともう際限なく長くなりそうなのでとりあえずここまで。
もし次があるなら、キャラクターの魅力について語り倒すかもしれません。(僕の拙い文章でそれを読みたい方がいらっしゃるかと言う問題もありますが(苦笑))
賛否あるとは思いますが、じっくりと向き合えば向き合うほど語りたくなる魅力の詰まった奥深い断章なのです。
*1:主にホラー。日本だと『這いよれ!ニャル子さん』等のコメディ作品もありますが。
*2:公式サイトhttp://news.fate-go.jp/2017/salem_full/より引用
*3:余談ですが、シナリオ中でキーキャラである『外なる神』等クトゥルフ神話系の情報を出していくと、お話がFGOからクトゥルフ神話の方にだんだん寄っていってしまうと言うメタ事情があるので、FGOからはみ出さない程度にクトゥルフ情報を描写するのはライターさん大変だったろうなぁと思います。