スマートフォンゲーム『fate/grand order』の期間限定イベント『惑う鳴鳳荘の考察』無事クリアいたしました。
ストーリーメインのイベントということで、フリークエストを進める息抜き的な感覚で読めるのが嬉しいですね。
投票も、『どれが正しいのか』ではなく、『どれを見たいか』という趣旨、FGOでは最低人数と言ってもいい死亡者数、そしてラストの後味、といったことから実に清々しい読後感でした。
(以下ネタバレ注意!)
・全体を通して
サーヴァントたちが慣れない映画作製のためにワイワイやっているのがとにかく楽しかったですね。
オジマンディアスがノリノリだったのが意外でした。ファラオ、後世の民の娯楽をここまで気に入られるとは。
・映画『鳴鳳荘殺人事件』(紫式部オリジナル版)
式部本来の構想は源氏物語を彼女自ら作り直した、ガブリエラ(演:紫式部)を巡る恋愛劇。
映画としての面白さはさておき、監督・脚本・主演全てが自分と言うのは後になって考えると、とてつもなく恥ずかしそうな話ですな。
それを敢行したのは、無茶な納期狂気のせいか。
だから作家組は物語に手を入れることを断ったのかもしれませんね。
自作の夢小説じみた自作映画を、ほかのプロ作家が手直しするとか(しかも絶対に面白くなってる!)、式部の傷口に塩を塗りこむような所業ですもの。
・映画『鳴鳳荘殺人事件』(撮影版)
監督・脚本・主演にドクターストップがかかり、わいのやいのと独自の方向に撮影を進めていったスタッフ・キャスト一同。
それぞれが自分の役にしっかり向き合ったこともあり、オリジナル版には無い深みが生まれた部分があったのではないでしょうか。塞翁が馬みたいな話ですが。
迷名探偵イシドロ、水戸黄門バルガス、ツンデレなエリス、あと考察で何かと黒幕扱いされるコルテスetc……キャスト陣の奮闘により、いずれも劣らぬ魅力的なキャラクターになったと思います。
・映画『鳴鳳荘殺人事件』(再編集版)
教授の提示した、『マシュの希望をかなえる方法』。
自分は、エンドロール後に式部版の結末を匂わせる短いシーンを撮り足す位かなーと思ったのですが、よもや記録映像を総動員した再編集+αで映画を作り直すとは。
いや、確かに再編集で別物にする手法はアニメの総集編映画で時々見る手法ではありますが、ココでそれをやるとは。
撮影版で式部のいない分を埋めようと奮闘した一同の姿を、『ガブリエラのために奮闘する善意の物語』として作り直すのはそう来たか!と思いました。
ただでさえ殺人事件は悪意の物語になるうえ、式部版はドロドロした部分もありそうな恋愛劇。
そこから美しい反転を見せてくれました。
それに、データは多分デジタルでしょうから、撮影版も残っていそう。
両バージョンがそれぞれカルデアで上映される……なんて日々を妄想するのも楽しそうです。
……しかし、こんな良い仕事をしてくれると、教授が悪党であることをうっかり忘れてしまいそうで恐ろしい。それがヤツの狙いなのだよ、ワトソンくん。
・ロマンについて
今回、彼に触れないわけにもいきますまい。
奈須先生のブログによれば、元々の脚本から制作陣判断での手直しが入った結果生まれた彼の出番。(この『合作』ぶりは『鳴鳳荘』本編とダブってしみじみ)
ロマニが出ると言うだけでもテンションが上がるのに、彼が絡む余地の無かったキャラクターたちとかけあいを繰り広げると言うことで非常に楽しい。
もちろん「?」と思うところもありましたが、教授があんな風にぶっちゃけた以上、こちらもそういうものとして受け入れるほかない(笑)
シメの台詞は実に彼らしいというかズルいというか。
くそう、ドクターのくせに!(大笑)