ムソウノカキオキ

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『仮面ライダーガッチャード』第37話簡単感想

第37話「ホッパー1とたからもの」

 特撮の粋を凝らした、可愛らしいホッパーのお使い……の印象が見事吹き飛ぶ、まさに最悪の展開。
 スケボーズに続いて、アントルーパー、さらには主人公の相棒、ホッパー1の死。
 とはいえ、この展開は『ガッチャード』と言う作品の根底に流れていた、『仮面ライダー』らしいシビアな死生観が顔を出しただけとも言えます。
 ようこそ、正真正銘の『ガッチャード』の世界へ。
 ようこそ、いつもの『仮面ライダー』へ。

 マジェードはもちろん、すっかり頼もしい存在となった先輩ズ、強化フォームとしての安定感をキープするアイアン&プラチナガッチャード。
 十分すぎる彼らの”力”を持ってしても防ぐことのできなかった事態に、絶望感が一層増していきます。

 一方で、仮面ライダーたちがケミーの命と人間の命の両方に全力で向き合う姿は胸を打つのもまた確か。
 逆境の中だからこそ、彼らの善性がより美しく光り輝いて見えます。

 
 汚れ役を敢えて請け負った年上組は、寡黙に全うするスパナとそれを補うかのように説明役を担うミナト先生が双方魅力的。
 生徒たちが何かを言う前にミナト先生が怒涛の説明台詞を入れていくのはシュール一歩手前な気がしないこともなくもありませんが、説明すべきことを生徒たちに説明すると言うミナト先生の高潔さが優ります。
 『ガッチャード』の説明台詞は、登場人物がその事象をキチンと理解していることと、相手に説明しようと言う誠実さがあることが感じられるのが良い。
 きちんとしたコミュニケーションを重視する姿勢のすばらしさと、それを嘲笑うような悪意の双方が際立ちます。

 その裏で、アトロポスとクロトーの感情も動きだし。
 アトロポスの感情を「理解する」と嘯きつつも「まがい物」と値付けする姿は、ギギストの傲慢さが端的に現れていましたね。
 これは、いつ後ろから刺されてもおかしくない勢い。
 果たして、ドレッド零式の刀になるか、壱式のレイピアになるか、いや案外、参式の棍棒で容赦なく行くのでしょうか?
 
 クロトーも、宝太郎に対して、単なる敵以上の感情———さながら、雌雄を決すべきライバルと思っているようにも見えます。
 
 そして、登場人物の持ち得る最善手のことごとくをあざ笑うかのようにギギストが生み出したホッパー1マルガム。
 単純に強い上に、分身能力持ちとは。
 これまでのマルガム(冥黒)同様、拘束して無力化することが難しいことが一目でわかります。
 親友ホッパー1を救うため、自分の命をも投げ出そうとする宝太郎に救われる……かに見えたマルガムの手が一般人に向かい、宝太郎は決断せざるを得なくなります。
 親友の命のために親子を見捨てるか、親子を守り親友に罪を背負わせないか。
 この決断の早さに、宝太郎のヒーロー性を改めて感じないわけにはいきません。
 彼は最初から、戦いが命を懸けたものなのだとキチンと分かっていたのでしょう。
 
 絶望に堕ち、マルガム化するかに見えた宝太郎は卵の殻に。
 内なるケミーの力か、あるいは宝太郎自身が無意識に選択したのか。
 いずれにせよ、怒りを他者に向けて発散するくらいなら、丸ごと”殻に籠る”ことを選択する宝太郎の優しすぎる優しさが見えるようです。
 
 降りしきる雨。
 逆転のカギはケミーの卵。
 果たして、その真の姿とは一体。
 そして、マルガムと化して失われた3人のケミーはどうなってしまうのか?
 宝太郎が最強フォームとなって立ち上がるのは、呪いのような既定路線だとして、この辺りはギリギリのところでメタ読みが通じないのが、『ガッチャード』の油断ならないところです。
 果たして、次回、人とケミーの世界にどんな虹の橋がかかるのでしょうか?