『fate/grand order』 では『マンガでわかる合衆国開拓史』が復刻されましたね。
第2部第2章に加えて、3周年キャンペーンということでただでさえやらなきゃいけないことやれることが多いところなので、周回前提では無いイベントは良い箸休めになってくれます。第2部のシリアスみに対する箸休めにも。
配布サーヴァントであるマンガでわかるバーサーカーちゃんも、低コストだながら使い勝手もいいしかわいいしバーサーカーなので攻撃力も高いしかわいいし宝具演出もはやいしかわいいので未入手のマスターさんはぜひお迎えしていただきたいところ。
と、まぁそんなお祭り騒ぎの合間に進めている第2部第2章の感想をば。
・北欧の異聞帯
仮面により一定の制御がされた巨人、一定の年齢でウバステされる人間……言ってみれば動物園のような世界なんですね。
軽々しく善悪を断じることはできませんが、どうして剪定事象となったのかはなんとなく理解できます。
この世界は現状維持しかされておらず、その先の進化が無い。
巨人は暴れるだけですし、人間は新しいことを考える前に個々を死なせなくてはならないルール。しかも統治しているのが神という最初からカンストした存在。これでは文明が発展する余地がありません。
詳しいことは存じませんが、こうした”先の展開が期待できない”世界が打ち切り剪定事象とされる――というのがtype-moon世界の設定のようです。
この先訪れる異聞帯がディストピアであれユートピアであれ、こうした現状維持の世界であることに変わりはないのでしょう。
……ええい、なんて設定を考えてくれたんですか、我らが菌糸類様は!
この異聞帯で出会った心優しい少女ゲルダさん。
そのゲルダさんからこの世界のルールを聞き、「もっと生きようとはしないのか?」と問い、そして村の大人たちを見殺しにしないためそのルールをブチ壊すマシュたちカルデア一行。
その行いの善悪を断ずることは……
すごく、すごく難しい。
彼らの行動は、心情的には理解できます。目の前で罪もない人が死ぬことを、彼らなら見過ごせないこともよく知っています。
ですが、苛烈な世界を最初から「そういうもの」として理解している人々に対して「それは違うのだ」と教えることは非常に残酷な仕打ちなのではないのか。
なぜならそれは、自分たちの未来は不当に(そして絶大な強者によって)奪われている現実を突きつけることであり。
そしてどの道、彼らの未来は不当に奪われることを突きつけること。
何しろカルデア一行こそが、空想樹を切除し異聞帯の未来を奪う存在なのですから。
未来を奪う存在が、奪われる側にその尊さを説く、という残酷な構図。
第1章=ロシアの時と異なり、異聞帯が敵、いえカルデア一行が異聞帯の敵であることが明確になっているからこそ、プレイヤーの立場としては両者の立場の間で正解のない問題に苦悩します。
・スカサハ=スカディについて
この異聞帯を統べる絶対強者(暫定)スカディさま。
強さから来る余裕もあるのでしょうけれど、カルデア一行が対峙した相手の中でも1,2を争うほど寛大な統治者ですよね。
一方で、「巨人の贄は必要」だと人間の犠牲をサラリと受け入れている辺り人間とは見方が違うのだなと感じられる所。
ここもまた、なんとも難しいところ。
・その他サーヴァントとシグルド(仮)について
スカディさまをはじめ、活躍するサーヴァントが皆我がカルデアに欲しくなるくらい魅力的なのも今回の魅力的なところ。いや実際にお迎えできるかどうかはともかくとして!
シリアスな状況の清涼剤であるナポレオン閣下。
異聞帯の姉妹たちと敵対することに思うところがありながらも、いえだからこそ自らの信念を彼女らに示すブリュンヒルデ嬢。
この世界を守ってきたことに矜持を持つ一方、イロイロとこじらせていたワルキューレ(オルトリンデさんだけのこったのは何か意味があるのでしょうね)
そして、サプライズ登場のかわいらしいアルターエゴ。
皆魅力的な中際立つのが赤い目のシグルド―――おそらくは変性している―――のどうしようもなさ。霊体化をノゾキに使ったと言われたサーヴァントは後にも先にも彼だけではないでしょうか。他でも口を開けば「殺す」と冷酷と言うか頭悪そう粗暴だし、こんなサーヴァントの手綱を握るオフェリアさんの苦労が偲ばれます。
だからこそ、ブリュンヒルデさんが惚れた大英雄シグルドがなぜこんなことになってしまったのかというのが大いに気になるところです。