第30話『ライバル参上!?ガッチャとジュリエット』
”ライバル参上”、このフレーズで戦闘方面のライバルではないのが本作らしい。
そんなわけでこれまで、錬金アカデミーを巡る”放課後”の事件が中心となっていた『ガッチャード』。
そんな中、新学期だ!部活だ!アオハルだ!と一気に学園要素を前面に押し出した一編。
同時に、九堂りんねをスポットライトを当て―――揺さぶりにかかってもいます。
転校生、九十九静奈。
宝太郎にグイグイと迫る積極的な少女。宝太郎はともかく、彼を数少ない友人とするりんねにとっては気が気ではなく……。
主人公を巡る恋愛要素をニチアサで押しだしていく展開は少し意外でもありますが、親しい友人との間に新しい友達が現れた、と言う男児にとっても理解しやすい文脈も含まれた話運びが良いですね。
静奈の、ある意味で難儀なところは、彼女が決して悪人では無いことかもしれません。宝太郎とまた仲良くしたいとこそ思っているものの、周りに害意を持っているわけではない。
もしかすると静奈のような相手との対峙は、『ルールを守る』と言う善悪の世界で生きてきたりんねには、初めての体験だったのかもしれません。
演劇部の御厨くんのピンチを救うべく、『ロミオとジュリエット』を演じることとなる宝太郎たち。
静奈とジュリエット役を取り合う加治木が微笑ましい。異性装の舞台と言うのも珍しくもありませんし、加治木ジュリエットもアリだったかも!?
御厨くん渾身の『ロミオとジュリエット』の解説。2人は天国で結ばれる、と言う『人魚姫』のような解釈は子供向けトクサツとしては欠かせないところと言えるかもしれません。
その裏で進むシリアスパート。
冥黒の三姉妹それぞれでグリオンに対する感情の違いが見て取れるのが、すれ違いを強調します。
クロトーの(色んな意味で)まさかの強襲。相手がどこにいるのか分かっているのなら真正面から挑むというのは確かに武闘派の彼女らしい。
それにクロトーにしてみれば、錬金アカデミーが妹の安全を保証するとも思えないのも分かります。一方のラケシスは身の安全を確保したいと思いつつも、姉に対する情は捨てきれず……。仮面ライダーヴァルバラドとの戦闘後の、クロトーの慟哭が胸に刺さります。
一方のアトロポス。お兄様たちに愛嬌を感じつつ、それが4人合わさることでプラチナガッチャードに迫る、と言う描写はパワーインフレに対する目配りを感じます。(こういうところが上手いんだよな、この番組!)
揺れ動く感情を持て余すりんねに迫るアトロポスとマルガムの魔の手。
格闘だけでなく、舌戦も苛烈。アトロポスの容赦のない言葉がりんねを追いつめ、ついには「父の仇」と言う言葉が突き刺さる。
グリオンはまさに、彼女たちの生みの親。確かにその通りでもありつつ、父への思いが強いりんねに対してはこれ以上なく刺さるワードでもあります。
予断を許さない状況で、待て次回!!
……それにしても、約2年前にニチアサにドンと出演されていた役者さんが、当時の雰囲気をたっぷり残したまま出演されるとは思いませんでしたね!