今回は、SKaRDの任務と並行して描かれる、とある市民の物語がメイン。
SKaRDとは限りなく接点が少なく、双方を結びつけるのが怪獣のみと言うのが面白いですよね。
互いに後姿を認める程度、と言うのは実にストイック。
ウルトラマンやアースガロンの戦う足元には、いつも彼らのような市民が生きている、と言う当たり前のことを思い出させてくれます。
保険会社のサラリーマン、テツオ。
良い人なのは確かなものの、営業する姿はどこか空回り。
彼自身のセリフにもあるように、自分の仕事が何のためのものなのか分からなくなっているというのが大きいようです。
そんな彼が、「やり直せます。そのための保険屋ですから」と堂々と言うところまで来る……、と言うお仕事モノ、大人の成長物語として清々しい姿でした。
そんな彼と関わり合いになるおばあちゃん、ミチコさん。
年の功とばかりにテツオを導くメンター的な役割を担いながらも、「何となくで生きてきた」と言う面が怪獣出現と共に不思議なバランスで表出していくのが印象的でしたね。
怪獣から逃げ遅れた、とかでなく「夫の元へ行くのも良いかな」と言ってしまうんですよね……。
結果的に、テツオと関わり合いになって、保険に入ったことがミチコを救うことになるのですから、人生とは何がどう転ぶか分からないものですね。
そんな2人の視点だからと言うこともあり、特撮表現もいつもとは一味違った緊迫感がありました。
生活感たっぷりの、閑静な住宅街をバックに戦うウルトラマンや怪獣の合成表現。
戦いの中で次々と吹き飛ぶ車の一台が、逃げる民間人にとっては脅威となる、と言う表現。
SKaRD視点では、アースガロンの手で空輸されるSKaRD M.O.Pと言うビジュアルが面白かったですね。遠隔地にはこうやって移動してるんだ、モッピー……
今回は怪獣も個性的。
ギガスとレッドキング(二代目)。
アバンのウルトラファイトすぎるウルトラファイトでガッツリ視聴者の心を掴み、人間臭い振る舞いで終始個性を放っていました。
レッドキングが二代目なのは初代『ウルトラマン』でギガスと絡んだのが二代目だから、と言う事情もありつつ、『ブレーザー』世界に過去出現していたと言う理由付けをしているのも見事。(『タタリ島』と初代からは微妙に変わっているのも芸コマ)
ユーモラスな二匹が倒されるのは少し可哀想な気もしますけれど、人間の生活を守るためには、本っっっ当に仕方の無いこと。
きっと、今回もテルアキ副隊長は「すまない」と呟いてくれたことでしょう。
ブレーザーとアースガロンの見事な連携で怪獣は倒され、一方でテツオは前を向いて仕事をしていく。
『お仕事モノ』と言う本作らしさを持たせつつも変化球、それでいて爽やかなお話でした。
さて、おそらくココからは縦軸一直線。
『ヴィジター99』の正体、そして思惑とは一体……?