今回は、恐怖心を克服すると言うヒーローものとしては王道なストーリー。
同時に、『ブレーザー』の基本フォーマットからはむしろ少し外れてもいます。
第2クールでは、これまで以上にバラエティーに富んだエピソードを展開してくれるのが嬉しいですね。
フタを開けて見れば、ヒーローものとしても、『ブレーザー』としても王道を行くエピソードとなっていました。
今回の敵は、人間の恐怖心を増幅させる怪獣モグージョン。
恐怖心を増幅する能力で、見た者によって姿が変わるため、いったいどんな怪獣なのか、と言うのが序盤のミステリ要素。
イメージシーンとして歴代の怪獣たちが登場してくれたのが嬉しかったですね。
SKaRD隊員が見た時にはかつて対峙した怪獣や異星人だったのも嬉しい。
そんななか、テルアキ副隊長が見たのが「おはぎ」と言う意外性。
他の人たちが怪獣やそれに近い巨大なものを見たのに対し、ひときわ異彩を放つ、コメディ・シーン。
とはいえ、イメージシーンのおはぎはかなりグロテスクに描かれ、怖さにも納得。
同時に、テルアキにとっては怪獣は恐怖の対象とは違う、と言うことも感じられます。
怪獣を生き物として見る描写を積み重ねてきたテルアキらしい、と言う納得感。
とうとう地上に姿を現すモグージョン。
タガヌラー、ペダン星人、そして敗北したアースガロンがヌッと現れるさまは、後の展開を考えると、初代ウルトラマン第33話 / 「禁じられた言葉」のオマージュでしょうか。
一瞬は恐怖に支配されながらも、即座に振り払うメンタルの強さを見せるゲント隊長。
これはもちろん、ウルトラマンと一体化しているから……ではなく、特殊部隊時代での訓練の賜物。
ゲント隊長の切り替えの早さをはじめとしたメンタルコントロールの上手さも、序盤から長らく積み重ねてきた描写なので、納得感がありました。
恐怖を感じていないのではなく、その上でコントロールしていると言う隊長の強さの一端が感じられるエピソード。
そして、それがエミ隊員とも繋がる、と言うのが構成の妙。
恐怖心の克服が単なる根性論にならないよう、これまでの描写も活かしつつ、丁寧に積み重ねをしているのが嬉しい。
SKaRD隊員の三人が戦闘不能と言う非常事態に、AIのサポートにより、遂に出撃することになったエミ隊員。
これまで乗らなかったのが、他メンバーと比べて「操縦ダメダメ」だから、と語るのが、有能な彼女のスキが感じられて良い。
しかしながら、民間人を救うため、機体をぶつけに行く思い切りの良さはさすが。
そんなエミ隊員の恐怖心が見せたのは自分自身。
コレにはさまざまな解釈ができると思いますが、聡明であるが故に自分を客観視することもできるであろう、エミらしいと納得できました。
所謂巨大エミ隊員状態でブレーザーと戦うモグージョン。
突飛な映像ではあるのですが、モニターを通すなど、リアルな雰囲気を極力殺さない工夫が素晴らしいですね。それにしたって突飛な絵面ですけど(笑)
動揺するエミ隊員に呼びかけるSKaRDの仲間たち。
熱血系な語りでは無く、途中から医師による意識確認のような声音になるところが、本作らしいリアルさです。
それがどれくらい届いたのかは本人のみぞ知る、ですが、冷静さを取り戻し、ブレーザーの戦いをサポートするエミ隊員。
それによって逆転したブレーザーが、相変わらず「バリってる」チルソナイトソードで撃破!
戦いが終わり、ワチャワチャしたやり取りを交わすSKaRD。
序盤では、”はじめまして”の関係だった面々が、こうしたやり取りを交わしているのを見ると、ゲント隊長ならずとも感慨深いものがありますね。
次回は、お馴染み総集編。
電脳絵巻と言うことで、普段とは趣が違う様子ですが、はてさて……