第39話「希望と絶望、三兄妹の葛藤」。
シリアスなエピソードを得意とする上堀内監督の真骨頂ともいえるエピソード。
ダークな画面や、子供番組では珍しい”間”の取り方といった演出が素晴らしい。
それに応える俳優陣の演技も素晴らしかったですね。
地獄、地獄、どこを向いても地獄……。
あのバイスさえも真面目になるほどというのが、逆説的に事態の深刻さを示しています。
強大なギフには服従するのみと語る赤石。
それに対抗するウィークエンドもまた、市民を戦いへと駆り立てるよう。
いずれも手放しでヒーローと呼べる存在ではなく、事態は赤石派対ウィークエンドの戦争のような様相を呈していく。
この戦い、”本隊”ともいうべきギフさまには何の影響も無いのがさらに悲惨。
五十嵐三兄弟は、そんな事態のはざまに翻弄されているように見えました。
一輝&さくら視点でも、大二視点でも、「きょうだいがヤバい組織に入っちゃってる!?」状態なのとんでもないですよ!
まず指摘しておきたいのが、アララト関連の『戦略的退化”政策”』として、国家主導のもと行われているわけです。
さらには、赤石長官が死を偽装していた時期にも、何の問題も無く進行していました。
つまり、直接的な描写こそ避けられているものの、日本政府は既にギフに屈服する道を選んだと思しい。
これは、赤石長官が国家の正義側に着けるところまで暗躍が終わっていること。
そして、ウィークエンドが決して強大ではない上に、赤石という”国の正義”に反抗する組織であることが伺えます。
このあたりを踏まえると、今回のお話が相当絶望的な状況なのが見えてくるかと。
再会するヒロミ&ジョージ。
信頼というにはのっぴきならない関係の2人。
毛利さんが描く男同士の格好良い関係はいつも実に素敵です。
敢えて無言・無音の退場シーンは、さすがの上堀内監督演出。
序盤で呆気なく殺害されるという無残な最期を遂げた牛島公子さん。
ニチアサながら、気合の入った演出により、悲しさが引き立つ最期。
戦いの被害者として、多くのキャラクターに影を落とすことになりました。
しかし、視聴者的にはどんな人なのか分からないまま亡くなられたという印象が強い。
光くんとの関係、太助さんとの関係はごく限られたセリフから頑張って読み取るほかなく……。
光くんと太助さんのセリフは、今回すごく良かったですね。
それだけに、彼らの関係性が、これまでにもっと深く描かれていたら、と感じずにはいられません。
いろいろな意味で、惜しい人を亡くしたと感じます。
その死に落ち込む光。
謎めいた雰囲気を出していた時期もありましたが、やはり彼も年相応の少年。
そんな彼に、「家族に本物も偽物もない」と言葉をかけるさくら。
かつて、警戒していたとはいえ、牛島家を「偽物の家族なんでしょう」と言ってしまった彼女だからこそ、光も救われたのではないでしょうか。
(さくらはそんなこと言ったのをすっかり忘れていそうではありますが)
その事態に、ギフジュニアを引き連れて現れる大二。
絵面こそ衝撃的なものの、力づくの連行に留めるなど、行動としては穏当なくらい。
しかし、牛島パパの演説で熱に浮かされた市民には届かず。
戸惑う一輝たちの姿に、ウィークエンドもフェニックスもヤバいことがうかがえます。
ついに始まる兄弟喧嘩。
手の出る妹もまぁまぁ原因。
「止めるなら大ちゃんの方」というのが実に五十嵐さくら。
一輝が完全に2人を仲裁する兄貴の構図。
変身解除した一輝とさくらに銃を向ける大二。
怪人に効かないことに定評のある拳銃がこんな形で生かされてしまう日が来るとは……。