ソフト公開に先んじて劇場公開中のこちらの作品について、簡単に感想をば。
以下、ネタバレ注意。
ゼンカイ編、ドンブラ編と来て、最終決戦で満を持して合流と言うパート。
別作品では『仮面ライダー MOVIE大戦』シリーズが一番近い構成ですが、内容的にはかつての『帰ってきた~』が二段重ねされているような印象。
両作品とも、サブのキャストさんも含めてほぼほぼオールスターなのが嬉しい。
登場していないのは、桃井陣とゆり子おばさんくらいなのでは?
裏を返すと、それだけ『ドンブラ』の登場人物が多いと言う事でもあり。あとなぜいる忍者おじさん。
・ゼンカイジャー編
前半を務める我らが機界戦隊。
のっけから「前回のゼンカイジャーは!」と響くセッちゃんの声が嬉しい。
こちらで前回のVS映画『ゼンカイジャーVSキラメイジャー』の内容まで触れるのは珍しい、と思ったらそちらの内容を踏まえた展開に。
もっとも、ギャグで押し通る『ゼンカイジャー』なので、『VSキラメイ』を観ていなくても大丈夫な塩梅かと。
新たなるカシワモチワルド!カシワモチ世界!カシワモチ王ゾックス!……とギャグ全開!は相変わらずのゼンカイ節。
しかし、再び悪に堕ちたツーカイザー&ハカイザー、カシワモチに飢えるディストピア、ゼンカイジャーの敵に回る市民たち……と、冷静になって考えると、かなりの大ピンチだぞ?というところもゼンカイ節。
レシピ通りのカシワモチしか認めない、と言うカシワモチ王ゾックスは、後の展開に繋がるところではあるものの、ゾックス本来の凝り性なところが出ているのが面白い。
フリントも技術者ですし、ゴールドツイカーの人は割と凝り性っぽい。
そんなカシワモチ王への対抗策は、ゼンカイジャーの今までの経験が活きた逆転の一手。介人達のコミュ力の高さよ。
ギャグな絵面ではありながら、ディストピア崩壊の過程を見事に描いているのは感心して良い所なんじゃないかと。
そして突入、カシワモチ王の居城、クロコダイオー!
今回、ロボ戦が無いのに、数少ない味方メカの出番がこんなんで良いの!?と言うところで、バトンタッチ。
・ドンブラザーズ編
記憶を失い、戦いから退いたタロウ。
ですが、マスターの(意地悪な)導きでドンブラザーズの元へ。
わざわざマスターがそんなことをするだけあり、現ドンブラザーズはなかなかこじれたことになっていて……と言うお話。
平たく言ってしまえば、ドン20話『はなたかえれじい』の再演と言った趣のお話。
ヒーロー活動を頑張るジロウに牽引される形で頑張った彼ら。
しかし、世俗的な成功もセットで付いてきたところに、ヒーローとしてそれで良いの?ということになる、と。
おそらく、大富豪の豪田氏がジロウのスポンサーになったのは、ジロウがドラゴンファイヤーズとして有名になった実績があったからなのでしょう。
豪田氏/電磁鬼、お金があっても満たされない人だったのが、自分のお金で似たような人を増やしてしまうとは。因果な。
ジロウはまたもやらかしたわけですが、彼の成長もいくらかは感じられるところ。
なにせ、善意100%で仲間たちを『リア充』にしてあげた訳ですから。
特に犬塚翼の本当の幸せが”あんな”だったとは、予想する方が難しいでしょう。
そんな中、お調子に乗りながらも、唯一ジロウの介入なしで漫画家としての道を躍進しているはるかのタフネスが光ります。
そんなお供たちのために、タロウはその身を尽くし……。
訪れるヒーローの死、そして復活。
井上敏樹大先生らしいストーリーと言うよりも、ド直球のヒーローらしいと言うべきか。
シニカルなコメディをやりつつも、ヒーローへの熱すぎるまでの美学が流れているのが『ドンブラザーズ』と言う作品の神髄。
ゼンカイジャーとの共闘を経て大勝利したドンブラザーズ。
タロウと4人は再び共に戦うことに……となるわけですが、コレが八方丸く収まったのかは少しばかり疑問が。
せっかく穏やかな日々を送っていたタロウが再び命がけの戦いに身を投じなくてはいけなくなったのは悲しいことなのでは、とか。
ずっとタロウがいてくれないとオトモ4人はダメダメになるの?君らの関係そんなんだったの?とか。
ソノイに関しては、周囲(視聴者含む)にとっては悲しいことだけれど、本人は納得づくでしょうし、なによりライバルキャラの見せ場としてはすごく美味しいので、アリなのではと思わなくも無かったり。ここもヒーローの美学。
とはいえ、終わりを迎えながらも、全てがめでたしめでたしとはならないのは『ドンブラザーズ』らしいのかな、とも思ったり。
人生は上手く行くことばかりではない、良いことも、悪いことも、台無しなこともある。
それでも続いていくから面白い。
そんなことを言われたような作品でした。
・VS編
前後しますが、最終決戦二大戦隊共闘のお話をば。
『ドンブラザーズ』から続いてなので、なんだかいつものスーパー戦隊に立ち戻ったかのような印象さえあります。
いや、ゼンカイジャーを手放しで優等生と言うのはまた違うのですけれど。
しかし、レジェンドアバターチェンジがすごく王道な使い方をされると戸惑うな……。
パワーアップした敵の変化が、腕が入れ替わるだけ、と言うのは予算の少なさが感じられて悲しくもあります。マジーヌに突っ込んでもらえたのは良かったのか悪かったのか。
とはいえ、短い中にも共闘編らしい両戦隊のかけあいがあり、『VSシリーズ』としての満足度は高め。
先行登場のネタも拾ってくれるのは嬉しい。いや、結局アレが桃井タロウ本人だったのかは分からないのですけれど。
マスターの正体は!?に関するお話は予想通り。
ただ、マスターはゼンカイジャーの介人では別人、と映像上で明言してくれたのは良かったかな。
そんなマスターの良く分からない言葉と共に現れたドンゼンカイブレードを使って大勝利を収める二大戦隊。
戦い終わって交流を深める、と言う定番の展開にならないのは、サバサバしたドンブラザーズらしい。ゼンカイ側は再開する気ゼンカイでしたが(笑)
全体として。
個性の強い二大戦隊だけに、それぞれの後日談を丁寧にやってくれたのが嬉しい映画でした。
変身する人以外にも、多くの登場人物にスポットが当たったのも嬉しかったですね。
あとは、欲を言えばロボットの出番がどうにかなれば……と言ったところ。
ロボットに対する姿勢は、ここ数年TVシリーズでも力を入れているようなので、ここは来年あるであろう『キングオージャーVSドンブラザーズ』に期待したいところ。
これまた、個性の強い二大戦隊が並ぶので、どんな作品になるのか皆目見当がつかないわけですけれども。