ムソウノカキオキ

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『ウルトラマンブレーザー第20話』簡単感想

 

 今回は武井監督と根本先生と言う、『ウルトラマンデッカー』で活躍された方々による一編。
 らしく、と言うべきかナグラ親子のエモーショナルなドラマを軸にしつつも、多くを語らず、演者さんの表情で魅せる場面が印象的な『ブレーザー』らしい観心地となっておりました。
 
 冒頭は演劇、もとい『怪獣が出た時の対処法講座』の稽古風景。
 さながら、警察のようなタイトルが、防衛隊を身近な存在に感じさせてくれます。
 ヤスノブ隊員への言葉がどこか気の置けないテルアキや、当初は四角四面だったアンリ隊員が特殊部隊らしからぬ任務に不平不満を漏らすところに、関係性の変化が感じられます。
 とはいえ、この稽古風景の描写は最低限に留められ、メインのドラマに対するスパイス的なポジションに置かれているのが良いバランスですね。

 父が倒れた!と帰った実家でひと悶着……と言うさながら昭和(っぽい)ドラマのような流れで帰郷することになったテルアキ。
 普段は隊長に並ぶ気遣い大王、もとい頼れる副隊長としての一面が強いナグラ・テルアキ副隊長が、実家では『息子』としての顔を見せるのが新鮮です。
 「ハッキリ言えばいい」「昔はああじゃなかった」とスネたように語る姿は、SKaRDの中ではなかなか見られない姿です。


 しかし、言葉少なな父の態度には、怪獣騒ぎも関係していた……と言う訳で登場したズグガン。
 人間大で昆虫のように大量発生する、と言う本作では珍しいタイプの怪獣でした。
 スーツは一着しかないそうで、撮影は大変だったろうなぁ……。
 虫の音と共に現れる様は、さながらホラー映画のモンスター。
 しかし、その虫の音は仲間に危険を知らせるものだった、と言う真相がビターな後味を残します。

 
 怪獣に襲われ、ただ息子が心配だった、と言う心情を吐露する父、ショウゴ。
 ひょっとすると、ズグガンの出現が、怪獣の脅威を身近に感じるきっかけになったのかもしれませんね。
 たとえ怪獣だと分からなくても、村を脅かす”それ”は人間の脅威に―――ひょっとすると命を奪うかもしれない危険な生物であることには違いありません。
 対して、この生き方を父から教わったと返すテルアキ。
 ここで特に分かりやすい回想シーンが流れるわけではありませんが、周辺住民から頼られる立場にあるショウゴの背中を観たことが、テルアキの人生観に大きな影響を与えたのだろう、と言うことが演者さん達の表情から感じられます。
 相変わらず、演出が渋い!

 怪獣出現の連絡に、諸問題を事後報告で押し通して出動するSKaRD。
 困っている人がいるのなら、組織での立場なんて吹き飛ばす、と言うスタンスが頼もしい。
 それはさておき、そう言うところが上層部から締め付けられる原因でもあるようにも見えるのが悩ましい。
 ゲント隊長がどこまでそれを自覚しているのかはアヤしいところではありますが(苦笑)。
 
 ともあれ、アースガロン(ヤスノブとゲント)による攻撃でズグガンを一掃、取りこぼしをテルアキとアンリ、エミはモッピーからナビゲート、と言う布陣でことにあたるSKaRD。
 エミ隊員は地元住民への対応と言う面も含まれていそうですが、彼女一人でそれが叶うのは、偏にナグラ家の地域での人徳が感じられます。

 

 順調かに思えた駆除任務の最中、地下から巨大ズグガンが出現!
 幼体そのままではなく、でっかい鎌があるなど造型としても変化しているのがこだわりを感じるところ。
 倒されたアースガロンから脱出したゲント隊長はブレーザーに変身。
 この間、ヤスノブ隊員がどんな酷い気絶の仕方をしていたのかは、恐ろしいところ。
 ウルトラマン変身者と同乗するパイロットの常とは言え、ヤスノブ隊員も不憫です。

 

 新フォームのブレーザーに引けを取らない強さを発揮するズグガン。
 今回のバトルも、本作ならではのパワーバランスが光るところ。
 新しい力を手にしていようがウルトラマンを追いつめる怪獣。
 しかし、ウルトラマンブレーザーは最後にきっちり勝利してくれるのでウルトラマンが弱い印象は無い。
 そしてウルトラマンの勝利の裏にはSKaRDの活躍があるので、防衛チームも欠かせない存在に映る、と。
 バラエティ豊かなストーリーを展開した後半戦までこの印象をきっちりキープできていることは、凄いことだと感じますす。

 

 大ピンチを前に、ズグガン幼体の虫の音を利用して打ち倒す作戦を考えるテルアキ副隊長。
 怪獣相手とはいえ、子どもの声を利用するとは、人間に置き換えるとなんとも……とも思えますが、倒し際の「すまない」の一言に、テルアキ副隊長の人柄が感じられます。
 思えば任務前の、地上に現れてしまった、駆除するよりほかにない、と言った台詞回しはズグガンを脅威ととらえながらも、心情的には積極的に撃滅したいわけでは無い、と言うテルアキの内心が感じられるようでした。
 それでも、人間も怪獣も生きるために戦わなくてはならないことには変わりない、と言う生態系の過酷さを感じさせます。

 こうして解決したズグガン事件。
 家族との別れ際、敢えて『防衛隊員』として振る舞うテルアキ副隊長。
 心なしか、敬礼もいつもよりもカタく見えるのが見事。

 『怪獣が出た時の対処法講座』のタスクが増えると言う不憫なコメディ・シーンを挟みつつ、村を去るSKaRD。
 
 後日、テルアキの守ってくれた土に涙するショウゴ。
 ここでスパっと終わらせてしまうのが、むしろ想像させる、良い余韻です。